旅行比較サイトで最強は? 「トリバゴ」は下位に沈む
2017年に一躍有名になったサイトが「トリバゴ」。大量のテレビCMで名前は知られたが、その正体は複数の旅行予約サイトからホテルやエアラインの最安値を見つけ出す「旅行比較サイト」だ。実は国内外に数ある比較サイト。その中から最安値を探せるのはどれかを調べた。
国内か海外かで強みが異なる
最安値チェックでまず見えてきたのは、国内旅行か海外旅行かで、強い比較サイトの傾向に差があること。国内ホテルの料金を調べるなら、国内系比較サイトを使うのが鉄則だ。
ポイントは、JTBや近畿日本ツーリストなど、老舗の旅行会社との連係があるかどうか。「ダイワロイネットホテル盛岡」の場合、最安値だったのは名鉄観光。次点はJTB系列の、るるぶトラベルだった。大手旅行会社は自社ツアー用に部屋を確保しており、オンライン旅行会社とは異なる独自の値付けのプランを出すことが多い。これが思わぬ安値となることがある。
最近は外資系の予約サイトも国内の宿泊施設の取り扱いを増やしているが、力を入れるのはインバウンド需要がある地域が中心。訪日観光客がまだ押し寄せていない地方都市は手薄だ。このため、国内の予約サイトとの連係が少ない外資系比較サイトのなかには、空室すら見つからないものも散見された。
一方、海外ホテルになると、これが逆転する。例えば「コートヤード バイ マリオット 上海 嘉定」で最安値を付けたのは、世界最大級の予約サイトのブッキング・ドットコム。次点は中国最大手のCtripだった。日本人に人気が高いハワイを除けば、国内の予約サイトの力は弱い。このため、外資系の予約サイトと多数連係している外資系の比較サイトのほうが優秀だった。エアラインも同様の傾向だ。
ただ、例外的に国内も海外もほぼ最安値を提示したサイトがある。「トラベルコ」だ。国内ホテルの連係サイト数は25サイトで、最多。加えて宿泊施設の販売システムとも連係し、一部ホテルの公式プランも検索可能だ。ほぼ抜けがないと言っていいだろう。
海外ホテルはどうか。国内外の主要な予約サイトと連係しているのは他の国内系比較サイトと同じ。違いは、外資系の有力比較サイトとも連係している点にある。これにより、直接連係しているサイトに加え、海外の予約サイトの検索結果も出る。
エアラインも同様で、有力な比較サイト「スカイスキャナー」と提携。国内の比較サイトの弱みをうまくカバーし、総合力は頭一つ抜けている印象だった。
国内ホテルでは「Yahoo!トラベル」もチェックしておきたいところ。5サイトと一部ホテルの公式プランを調べられ、そのまま予約ができる。なかでも傘下に収めた一休.comのプランは「ヤフープラン」として掲載され、最大で20%がTポイントで還元されるものも。加えてYahoo!プレミアム会員なら4%上乗せになるので、Yahoo!プレミアムが無料で使えるソフトバンクのスマホユーザーなら、特にメリットが大きい。
航空券の検索に優れる海外勢
外資系の比較サイトには、国内勢にはない機能がある。例えばスカイスキャナーのエアライン検索では、目的地を指定せずに検索をすると、料金順に目的地がずらりと並ぶ。予算に合った旅先を探したり、思わぬ安値の路線を見つけたりでき、旅行の日程だけ先に決まっているときには特に有用だ。また、過去のデータに基づき、旅行の時期や航空券を購入するタイミングはいつがいいかといった情報も豊富だった。
「KAYAK」も同様に、予算に合った目的地を探す機能がある他、航空券を検索すると、そのチケットの今後7日以内の価格動向が予測される。下がるという結果なら、今は買い時ではないということ。こういった機能を活用することで、高値づかみを防げる。
ここから主要な旅行比較サイトを見ていこう。まずは国内系の比較サイトからだ。
地域を問わず最安値が見つかる
https://www.tour.ne.jp/
国内ホテル ★★
海外ホテル ★★★
エアライン ★★★
国内の予約サイトはもちろんのこと、外資系の有力比較サイトである「スカイスキャナー」などとの提携を通じて、海外の予約サイトも網羅。国内外の検索力に優れ、最安プランを的確に表示するケースが目立った。国内ホテルでは、大浴場の有無など細かな条件で絞り込みができるなど、日本人ならではのニーズに対応。使い勝手でも優れており、料金比較なら筆頭候補といえる。
ホテルとエアラインを組み合わせたツアー商品「ダイナミックパッケージ」は、利用するエアラインごとに催行する旅行会社が異なり、それぞれ個別に検索する必要がある。トラベルコの「国内航空券+ホテル」検索は、8サイトのダイナミックパッケージを同一画面で比較できる唯一のサイトだ。エアラインはタブで切り替える。
国内ホテル検索には強い
http://www.travel.co.jp/
国内ホテル ★★★
海外ホテル ★
エアライン ★★
国内ホテルの連係サイト数はトラベルコに次ぎ、検索結果は優秀な部類。ただし海外ホテルは5サイトしか検索できず、最安プランは出てきにくかった。エアラインは、トラベルコと同様にスカイスキャナーと提携しており、比較的安価なプランが見つかった。
ホテル予約でマイルがたまる
http://4travel.jp/
国内ホテル ★★
海外ホテル ★★
エアライン ★
フォートラベルを経由してホテルを予約するとポイントが付与される(一部の予約サイトを除く)。ANAやJALなどのマイルに交換でき、国内宿泊は1回の予約で48~72マイル、海外宿泊は同160~240マイルだ。
Tポイントの還元率が高め
https://travel.yahoo.co.jp/
国内ホテル ★★★
海外ホテル ★
エアライン ★
複数の予約サイトのプランを掲載し、サイト内で予約まで完結する"ハイブリッド型"サイト。Tポイントが最低でも0.5%たまる。傘下に収めた一休.comのプランは「ヤフープラン」として販売され、Tポイントの還元率が高め。有料会員はポイントが上乗せになる。
続いて外資系比較サイトを紹介する。
航空券と海外ホテル検索に強い
https://www.skyscanner.jp
国内ホテル ★
海外ホテル ★★★
エアライン ★★★
英国発のサイト。エアラインの検索に強みを持つが、海外ホテルでも優秀な結果だった。ただ、国内ホテルは連係サイト数が少ないようで、空室が見つけられないケースも目立ち、海外旅行に限って使うべきだろう。日本法人にはヤフーが出資しており、Yahoo!検索で「ホテル」「航空券」というキーワードと都市名を入力すると、スカイスキャナーの検索結果が自動的に表示される。
エアラインの目的地を指定せずに検索すると、路線ごとの最安値が表示される。路線を指定すれば、シーズンごとの料金の変動や、出発の何週間前なら最も安く買えるかなどもわかる。
「門外不出」の会員価格がわかることも
https://www.kayak.co.jp/
国内ホテル ★★
海外ホテル ★★
エアライン ★★
ホテルは国内、海外ともに連係サイトは少ないものの、安値は見つかりやすい傾向。会員登録してログインすると、「会員価格」が見つかることがある。これは本来、予約サイトが会員限定で提示している料金で、比較サイトで調べられるのは珍しい。エアラインも優秀な部類だった。
「航空券+ホテル」では、ダイナミックパッケージとして予約した場合と、航空券とホテルをそれぞれ別の最安サイトで購入した場合の料金が比較できる。セットで予約したほうが安いとされるが、そうでないケースもあった。
KAYAKに会員登録してホテルやエアラインを予約すると、スケジュールや予約番号をまとめた旅程表が自動的に作成される。KAYAKを経由せずに予約した旅行でも、予約確認メールを指定されたアドレスに転送すれば、自動的に内容を解析し、旅程に組み込まれる。オフラインでも確認でき、旅行中に重宝する。
料金比較よりもクチコミ評価に強み
https://www.tripadvisor.jp/
国内ホテル ★
海外ホテル ★
エアライン ★★
料金比較では、国内・海外ともに検索結果は振るわなかった。しかし、このサイトの真価は、独自に集めたクチコミ評価にある。クチコミ評価があれば施設のページが作成されるため、オンライン予約ができない小規模な宿泊施設などの情報も調べられる。
ホテルに特化。目立った特徴はない
https://www.trivago.jp/
国内ホテル ★
海外ホテル ★
ホテルに特化した比較サイト。テレビCMで知名度は抜群だが、国内・海外ともに最安値はほとんど見つからなかった。シンプルな操作性が売りで、特筆すべき機能はない。
他サイトにはない独自プランあり
https://www.hotelscombined.jp/
国内ホテル ★
海外ホテル ★★
ホテル検索のみで、国内よりも海外に強い印象。宿泊施設は限定的だが、他の比較サイトや予約サイトにはない独自の宿泊プランが掲載されていることがある。会員登録するとさらに割安な「シークレット料金」も出るので、調べる価値はある。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年11月号の記事を再構成]
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