「メタボ改善には半年2kg減で十分」はウソ・ホント?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(1)ホント です。
内臓脂肪は、皮下脂肪より減らしやすい
ビジネスパーソンの多くが気にする「メタボリックシンドローム(メタボ)」。このキーワードが登場してから10年以上経ち、すっかり世間に定着した感がありますが、単に「メタボ=単なる肥満(デブ)」という意味でこの言葉を使っていないでしょうか?
肥満の人はメタボに該当するケースが多いのは事実ですが、メタボは単なる肥満ではありません。メタボとは、「内臓脂肪(腹部の内臓の周りにつく脂肪)が蓄積した上に、高血圧・高血糖・脂質代謝異常が重なり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性の病気を招きやすくなっている状態」のこと。
結核予防会総合健診推進センター所長で東京医科歯科大学臨床教授の宮崎滋さんによると、メタボと診断された人は、「内臓脂肪を減らすことで健康になれる可能性のある人」と考えていいのだとか。内臓脂肪が減れば、血糖値や血圧、中性脂肪値なども改善していくため、メタボ対策はとてもシンプル。「やせて内臓脂肪を減らすこと」に尽きます。「誤解されている人も多いのですが、内臓脂肪は、皮下脂肪より減らすことは容易です」と宮崎さんは話します。
とはいえ、内臓脂肪を減らすために体重を10kg落とす必要があるとしたら、多くの人はなかなか実現できないでしょう。一時的にやせても、リバウンドで戻ってしまうかもしれません。しかし、宮崎先生は、そんな大幅な減量は不要で、むしろ時間をかけて「ゆるく減量」することが大事だと話します。
体重80kgの人なら半年で2.4kg減らせばOK
その理由は、急激に体重を減少させると、体が飢餓状態に置かれたと錯覚して、かえって脂肪をためこみやすい体になってしまうため。「メタボの改善には、まず『3~6カ月で体重の3%の減量』で十分です。それだけで内臓脂肪は減少し、高血圧・高血糖・脂質異常も改善し、脂質代謝や糖代謝を円滑にする生理活性物質であるアディポサイトカインの分泌も正常に近づきます」(宮崎さん)
3%といえば、体重60kgの人なら1.8kg、80kgなら2.4kg。これを、3カ月から半年かけて減らせばいい、ということなら、実現可能性はグッと高まります。「急激な減量は避け、1カ月に1kg減を上限にして、徐々に体重を減らすことがポイントです。こうするとリバウンドしにくく、長続きしやすくなるのです」と宮崎さん。
体重を減らす効果は、運動よりも食事のほうが高いので、まずは食事量を少し減らすことから始めることを宮崎さんは勧めます。体重80kgの人が2.4kgを半年で落とすための目安は「1日100kcal減、ご飯なら1日で半膳減らす」程度。不規則な食事、早食い、寝る前の食事をやめ、減量時も食事のバランスは崩さないことも重要です。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday 2017年10月23日付記事を再構成]
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