駅そば食べよう 新作ご当地メニューや限定CDでPR
JR東日本高崎・長野・新潟支社は、9月23日から11月30日まで、上信越エリアの駅そばファンを増やすキャンペーン「スキです。駅そばキャンペーン2017」を実施している。その一環として11月1日には、くるりの岸田繁が作詞・作曲したキャンペーンソング「そばを食べれば」のCDを、キャンペーンに参加する一部のそば店の店頭で発売した。
駅のホームやコンコースからただようかつおだしのきいたそばつゆの香りに思わずおなかの虫が鳴ってしまったという経験をお持ちの方も多いだろう。電車待ちの短い時間に空腹を満たすための、和風のファストフードとして人気が高い駅そばだが、最近は地元の食材を取り入れたりするなど一段とその魅力を高めている。
駅そばのキャンペーンは、JR東日本長野支社が2010年に「信州駅そばキャンペーン」としてスタート、2015年からは新潟、高崎の両支社も加わった。参加各店が、キャンペーンに向けて地元ならではの味を取り入れた新メニューを投入するなど人気を高め、今年は17店舗が新メニューを用意した。
そば好きなら注目したいのが、長野支社エリアのラインアップ。同支社エリア内では、そばどころらしく、通常のゆで麺の他に、生麺をゆでて提供する「特上そば」も用意している店もある。
たとえば、松本駅大糸線ホームの店で提供する「安曇野葉わさびそば」。そばは生麺をゆでるため、ゆであがりまでに3分ほどかかる。細麺ながらしっかりした歯応えは、やはり生麺ならでは。
具の安曇野産の葉わさびも、地元ならではの味。びりっとした辛みが、生そばのうまさを引き立てる。店内には椅子もあり、500円玉でおつりが来る価格設定ながらも、専門店で食べるそばの味わいだ。
篠ノ井駅改札前の店で提供する「野沢菜わさび昆布そば」もやはり生麺の特上が選べる。最近、高速道路のサービスエリアなどで人気が高い野沢菜昆布。歯触りのいい野沢菜に味わい深い昆布が加わると、絶妙のマリアージュにある。そこにぴりっとしたワサビが加わると、そばの具としてはとても魅力的になる。
駅そばというとかき揚げなど揚げ物と合わせるイメージが強いが、生そばだからこそ、こうした繊細な味わいの具が引き立つのだろう。生そばがある店では、ぜひ選んで食べてほしい。
もうひとつ、いかにも長野らしかったのが、南松本駅前にある店の新メニュー「なめ茸とろろそば」。エノキダケをしょうゆ味で煮たなめ茸は、長野の名物と呼んでいい味。これがすり下ろしたヤマイモと合わさると絶妙の味わいになる。
なめ茸とだしの効いたそばつゆのダブルのしょうゆ味が、とろろをやさしく包み込む。食数限定のメニューなので、なるべく早めに食べに行きたい。
新メニューはこのほかに、観光客に人気の温泉で入浴するサル・スノーモンキーをモチーフにした長野駅新幹線ホームの「おさるそば」、塩尻駅の「磯辺揚げ(ちくわ)そば」、富士見駅の地元産豚肉を使った「豚バラ軟骨そば」がある。
長野が生そばなら、新潟支社エリアで注目したいのはふのりそばだ。「へぎそば」など、新潟ではふのりを打ち込んだそばが名物だ。駅そばにもそんな地元ならではの麺が使われている。
注目は、長岡駅在来線の改札内にある店の「くるま麩 ふのりそば」。小麦粉のグルテンが主原料の麩は、新潟県ではおなじみの食材。新発田市や三条市などが産地として知られる。
地元ならではふのりそばの汁そばに、軟らかく煮た車麩(くるまふ)がトッピングされたこの新メニューは、新潟県らしさをワンコイン500円で表現した意欲的なメニューだ。たっぷり汁を吸ってふかふかになって、それでいて崩れてしまうことのない車麩の食感が魅力的だ。
新潟支社ではこのほかに、燕三条駅の「かき揚げふのり蕎麦」と新潟駅の「特製かき揚げふのり蕎麦」の2種類のふのりそばと越後湯沢駅の「麻婆そば」が新メニューだ。
埼玉県北から群馬にかけての高崎支社エリアにも意欲的な新メニューがある。「ジャンボ鶏から揚げそば」だ。都市部ではあまりなじみがないが、常磐線我孫子駅の「唐揚げそば」や中央線小淵沢駅の「山賊そば」など、駅そば好きの間では、大きな鶏の唐揚げがのったメニューの人気が高い。
鴻巣駅、北本駅、桶川駅に出店する店が、今回の新メニューとして投入している。また、本庄駅でも「から揚げそば」が新メニューとして登場している。
そばつゆに浸って、ちょっとしんなりした唐揚げの衣は、実はかき揚げに負けない魅力を持っている。
駅そばと揚げ物の相性の良さは、いわずもがなだろう。唐揚げそばを含め、高崎支社エリアの新メニューはすべて揚げ物との組み合わせだ。上毛高原駅は「野菜カレー天そば」、桐生駅は「舞茸天ぷらそば」、横川駅は鶏肉に半熟卵の天ぷらを合わせた「親子そば」を新メニューとして投入している。
既存メニューでも、高崎駅の「舞茸天ぷらそば」は地元産のマイタケを使用、駅そばでご当地の味を表現している。おむすび大の大きなマイタケ天は迫力満点だ。
キャンペーンでは3支社の各店舗で3つずつ、計9個のスタンプを集めると、特性のノートかボールペンがもらえるプレゼント企画に応募できる。さらに、全店舗を制覇すれば、もれなく2つのプレゼントがもらえる。
注目は新メニューだけではない。キャンペーンソングのCD化も要注目だ。
岸田繁が歌う「そばを食べれば」は、昨年の駅そばキャンペーンのために制作された楽曲。駅そば店内でのBGMとして使われたが、今年は店内での使用に加え、CD化が実現した。
山下達郎やスターダスト☆レビューらでおなじみの伴奏なし・声だけのアカペラで、駅そばへの思いを歌う。歌詞やちょっとした効果音に、岸田の駅そばへの深い愛がにじむ。
岸田繁は、ロックバンド・くるりのフロントマンで、曲作りやボーカル、ギターを担当。鉄道ファンとしても知られ、2005年には、京浜急行電鉄とのタイアップでシングル「赤い電車」を発売した。
CDの販売は11月1日から。駅そばキャンペーン参加店のうち、高崎駅のそば処八起家西口店、熊谷駅のいろり庵きらく熊谷店、長野駅のそば処福寿草、飯山駅のそば処なの花、新潟駅の新潟庵新幹線ホーム、長岡駅の長岡庵の6店のみ、各店55枚限定、全部で330枚のみで販売。購入方法は、駅そば同様、店の券売機で食券を購入して店頭で受け取る。
高崎駅では開店早々に売り切れたそうで、2日午後1時の時点で、長岡駅以外ではすべて売り切れとなった。くるりファンや鉄道ファンには垂ぜんのレアアイテムとなりそうだ。
曲の一部はキャンペーンの公式サイト(CDの在庫状況も確認可)で試聴できるほか、キャンペーン参加店ならBGMとして使用されているので、気になる人は最寄りの駅までそばを食べに行くといいだろう。
(渡辺智哉)
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