バブルは10年に1度 歴史が語る崩壊の予兆(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

 現在もシェール革命による原油価格下落、アマゾンに代表される電子商取引(EC)の発達などによって、好況下でも世界的な低インフレ、そして低金利が続いている。現在はこのようにバブル発生の条件がそろっており、すでに発生していると考えられる。

崩壊のヒントは「逆イールドカーブ」

 上記のように、バブルの生成と崩壊を予測するのは難しいことではあるが、ヒントがないわけではない。それは短期債と長期債の各年限の金利をつないだイールドカーブ(利回り曲線)だ。短期金利を左に、長期金利を右に置くと、通常は短期が低く、長期が高い(順イールド)ので右肩上がりとなる。しかし、ごくまれに短期が高く、長期が低い(逆イールド)状態になることがある。

 この逆イールドカーブこそがバブル崩壊のサインになり得る。世界の上昇相場の転換点は、過去40年間に4回あった。1980年(第2次石油危機直前)、90年、2000年、07年だ。これらに共通する要因は、米国の逆イールドカーブであり、連邦準備理事会(FRB)の利上げである。

 米国では中央銀行の政策目標はインフレ率と雇用の安定だ。しかし、これらは景気に遅行して動くため、金融政策の対応も遅れてしまう。例えば、不景気時の金融緩和は指標に表れるまでにはタイムラグがあるため、過度に金融緩和をしてしまう。同じような理由で好景気時の金融引き締めも過度に引き締めしてしまうのである。実は、逆イールドカーブは引き締めすぎの過程で出現する。

ファンダメンタルズを上回る利上げ

 その仕組みはこうだ。FRBは政策金利として短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利を採用しており、短期金利は政策金利に収れんする。一方、長期金利は基本的に経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づいて形成される。つまり、ファンダメンタルズを上回るような利上げが実施された場合に逆イールドが生じるわけだが、その影響は大きい。

 世界最大の金融市場を持つ米国が過度に緩和すれば、世界的なバブルになるし、必要以上に引き締めをすれば、株価急落につながるのは当然であろう。

 15年12月の利上げ開始時に、政策金利は0~0.25%、長期金利は2.2%であった。それが17年10月(27日時点)は、政策金利が1~1.25%、長期金利が約2.4%である。政策金利は19年前半には2%台前半まで引き上げられる見通しである。ファンダメンタルズに変化がなければ、この時点で逆イールドになる可能性がある。よって、歴史の教訓が当てはまるとすれば、19年前後にバブルのピークがやってくると考えられる。

日経平均は3万円達成後、急落のリスク

 筆者は8月14日付コラム「世界株高に感じる黄信号 乱気流に備えよ」において、リスク要因を挙げながらも「歴史的に上昇相場の最終局面では、株価はオーバーシュートする。株価はまだまだ上がると思った方がいい」と述べた。その考えに変わりはない。

 株式相場は連騰が続いただけに、いったん大きな調整はあり得るが、そこは大きな買いのチャンスである。相場の柱はこれまでも述べてきたとおり、ソフトバンクグループ、ソニー、任天堂、キーエンス、日本電産、村田製作所を中心とする人工知能(AI)関連株だ。反発後、これらの銘柄をけん引役として日経平均は3万円を目指すだろう。ただし、「その後、急落のリスクがあることを忘れてはならない」というのが、最も強調したいことである。

藤田勉
一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任教授、SBI大学院大学教授、シティグループ証券顧問。2010年まで日経ヴェリタスアナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。経済産業省企業価値研究会委員、内閣官房経済部市場動向研究会委員、北京大学日本研究センター特約研究員、慶応義塾大学講師を歴任。一橋大学大学院修了、博士(経営法)。1960年生まれ。
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