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次世代リーダーの転職学

転職を決める前に生産性点検 NG企業に3つの共通点 リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

2017/11/3

「安心材料」としての部下同行や人数合わせの表敬訪問は無駄が多い(PIXTA)

転職が当たり前の時代になって久しいが、実際の転職にはまだまだブラックホールが存在する。たとえば、「仕事上の慣習」や「仕事の進め方」など、意外に単純なところでまったく違う価値観を目の当たりにすると、せっかくの新天地も、一転して働き心地の悪い場所になりかねない。今回は、私自身が直接見聞きした、ホワイトカラーの生産性が高い企業と低い企業の違いから、転職先を検討する際のモノサシを見つけていただければと思う。

■ドイツで「表敬訪問」できなかった話

知人のAさんは、日本メーカーのヨーロッパ法人に勤務していた。あるとき日本本社の役員からドイツのメーカーの役員にアポイントを取るよう依頼が来た。Aさんが目的を聞いたところ、いろいろな言葉で説明があったが、つまるところは「せっかくドイツに出張するので業界トップの役員を表敬訪問したい」というもので、確たる目的があるわけではなかった。いわゆる、「ごあいさつ」だ。

Aさんは、心の中で「多分無理だろうな」と思いながらも、ミーティングのセッティング依頼を開始。先方に形ばかりのヒアリング項目を伝えると、ミーティング設定前にその回答がリポートとして送られてきた。これでミーティングをする理由はなくなり、「ごあいさつ」自体がなくなった。

日本的な発想でいうと、「ごあいさつ」を断るなんて無礼な対応だと思うかもしれない。しかし、労働時間を厳しく管理しているドイツでは、目的が不明確なミーティングをすることはあり得ないと判断される。やや極端なケースだが、こうした判断の積み重ねがドイツ企業の労働時間の短さの秘訣の一つだと私は思う。

■「ごあいさつ」の生産性とコスト

現在も、日本企業の「ごあいさつ」訪問は減っていない。あなた自身も「ごあいさつ」を理由にアポをとったり、「ごあいさつ」を受けたりしているかもしれない。「ごあいさつ」は、目的がなくても、顔を合わせて接点だけは持っておきたいという行為だ。

それも上位役職者だけではなく、数人で訪問する。上位役職者は現場に詳しくないことも多いので、「安心材料」として例えば営業や技術の現場担当者を連れて訪問することになりやすい。しかし、明確な目的の合意のもとで行われるミーティングではないので、そもそも深い質疑応答はなく、結局、連れてこられた現場の数人は名刺交換だけで、口を開くことすらない、ということがよくある。

「ごあいさつ」を受ける側はどうか。私はかつて、「ごあいさつ」を受ける際に、先方の人数やポジションに合わせて、自分の組織のメンバーに同席してもらっていた。つまり、先方が3人ならば、こちらも3人そろえるという具合だ。しかし、何かの拍子にどちらかが4人や5人になると、次回から相手も5人になるのだ。複数の人が時間と経費を使って何も生み出さず、人件費だけを浪費する状態だ。

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