転職を決める前に生産性点検 NG企業に3つの共通点リクルートワークス研究所副所長 中尾隆一郎

 この理屈が分かったので、どうしても会わないといけない来客には私1人で対応することにした。すると、徐々に先方の人数も減っていった。

 「ごあいさつ」を筆頭に、この種の無駄なミーティングが、日本企業の生産性を低くしている原因の一つだ。

 必ず顧客に会えと部下に指導している企業、あるいは営業時には大勢の人間で訪問する企業の生産性は極めて低いと私は思う。当然、その時間コストが価格転嫁される。結果、その企業の価格競争力は低いか、もし価格競争力が高いとすると人件費を抑えている可能性が高い。

 仮に、リレーション形成のために「ごあいさつ」という名目で訪問を打診するにしても、その訪問で何を獲得したいのか、といった目的を明確にして、それに合わせて訪問者を絞り込むべきだと思う。

「営業しない営業」の話

 営業担当が営業活動をしないという事例も、実はけっこう多い。顧客の課題を調べることもせず、自社の売り込みをするためだけに訪問する。売り込みはするので、一見営業活動のように思えるが、相手の求めているものを把握していないし有効な提案もないので、営業活動とはいえないだろう。そして、このような場で一方的に与えられる情報は、多くの場合、その企業のウェブサイトで調べることができるレベルのものだ。

 一方で、営業活動を標準化してパイプライン(営業活動の工程)管理しているのだと推察される会社もある。このような企業は、セミナーやイベントに顧客を集めるための営業活動をしているケースが多い。最新のテクノロジーをすべての営業担当者が説明し、質疑応答するのは難しい。従って、専門家が説明する場に顧客候補を集めるという形式にして、その場に顧客を集めることを営業の行動目標にしているのだ。

 セミナーやイベントに顧客が参加すると一定の確率で受注できる。進捗管理や改善活動の磨き込みもできる。このような取り組みをしている組織は効率性を重視しており、生産性が高いことが多い。しかも、イベントを通じて多くのスタッフが顧客と接点を持つことになるので、顧客の生の声を営業以外のスタッフも知ることができ、商品やサービスの改善に役立てることができる。(計画・実行・評価・改善の)PDCAサイクルが回るので、さらに生産性が高くなる。

 外部から実情をうかがい知るのは難しいが、どちらの営業が良いのかは言うまでもないだろう。

正しい「社内ミーティング」の話

 ここまでは社外の人とのかかわりだが、社内ミーティングこそ最も生産性が低いと思っている方も多いのではないだろうか。逆に、社内だからこそ、少しのポイントを意識することで生産性を高めることも可能だ。

 ホワイトカラーのスケジュールを見ると、社内ミーティングの比率が高い。管理職だと3割から5割を超えるケースも散見される。前述の「ごあいさつ」の例のように、本当に必要なミーティングなのかという確認はもちろんだが、必要な会議であったとしても、ミーティングの生産性が低いケースも少なくない。

 例えば、会議の冒頭に資料の内容を説明し始めるようなミーティングは、かなりの確率で生産性が低い。読めばわかる内容を読み上げることに時間を使っているのだから、時間を無駄遣いしているとしか思えない。

 では、どのようなミーティングの生産性が高いのか?

今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら
注目記事
今こそ始める学び特集
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら