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「コミケ」もピンチ? ビッグサイト、五輪で利用制限 企業の展示会、就職マッチングなどは開催のメド立たず

2017/11/15 日本経済新聞 夕刊

コミケについては継続できるよう主催者と東京都の間で調整を進めている(写真は2015年8月の会場の様子)

 「東京モーターショー」などのイベントや展示会会場となる東京ビッグサイト(東京・江東)が2019年4月から一時、利用できなくなる。東京五輪・パラリンピックのメディアセンターとして活用されるためで、改修期間も含めて最長20カ月間は利用できない見込みだ。出展者らが代替会場の確保など対応に追われている。

 「ビッグサイトを使わせろ」。10月5日、都庁周辺では、展示会関連のディスプレー会社の社員ら約300人が集まり、声を上げた。参加した男性会社員(47)は「ビッグサイトが使えないと、生活ができなくなる」と訴える。

関係者たちは東京都庁周辺でデモ行進をして展示会の継続を訴える(10月上旬、東京・新宿)
展示会は中小・零細企業にとって重要な営業機会の場になる

 日本展示会協会(東京・千代田)によると、ビッグサイトの一時閉鎖で232本の展示会やイベントが中止になり、7万8千社に影響がでるという。

 金属製品の表面加工を手掛ける中野科学(新潟県燕市)は金属業界などの展示会に毎年6~7回出展する。ブースを設け、来場者に自社の技術をアピールする。展示会は効率的で大きな営業活動の場。展示会中断について「かなりのダメージ。営業マンは増やせず、会社のホームページを充実させるぐらいしかない」と中野信男社長(68)は肩を落とす。

 漫画やアニメのファンら50万人が集まる同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」。主催会社の担当者は「(ビッグサイト以外で)同規模のコミケ開催は難しい。何とか利用したい」と訴える。同人誌の印刷を請け負う栄光(広島県福山市)の岡田一社長(59)は「売り上げの4~5割減を覚悟している」と嘆く。

 就活イベントも縮小される可能性がある。

 リクルートキャリアによると、競技会場として20年4月ごろから使えなくなる幕張メッセ(千葉市)の分を含めて最大で延べ12万人の学生と延べ3千社のマッチングができなくなる恐れがある。別の展示会やイベントの主催者側も代替会場を求めており、争奪戦は必至。「会場を押さえるのは簡単ではない」という。

 ビッグサイトは東京都が所有し、メディアセンターとして活用する方針は招致活動の計画にも盛り込まれていた。施設内の一部で19年4月から改修工事が始まるため、一部の施設が利用できなくなる。開催直前の20年5月から5カ月間は施設全体が使えなくなる。

 都はビッグサイトから約1.5キロ離れた場所に仮設の展示場を建てて対応する計画。来年度の着工を目指している。

 しかし、仮設の展示面積は2万3千平方メートルでビッグサイトの4分の1ほど。「規模が小さすぎる」と日本展示会協会の石積忠夫会長は訴える。

 小池百合子都知事は9月末の記者会見で初めてビッグサイトに言及。「大変、ファンのいるイベント」であるコミケについて「お使いいただけるように工夫している」と説明。都とコミケ主催者で調整を進めている。

 石積会長は都知事自らの発言を「一歩前進」と受け止めるが、コミケ以外の展示会の状況は変わらない。「今まで通りの規模で開けるように問題に対する認識を深めてもらいたい」と求めている。

[日本経済新聞朝刊2017年10月28日付]

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