アメリカンライフが原点 今や日本ブランドを海外発信
よくわかる セレクトショップ(2)
アメリカの生活が手に入るお店を日本に――。「セレクトショップご三家」の一社、ビームス(東京・新宿)の創業の原点だ。インターネットが普及する以前、モノを通じて「海外へのあこがれ」という消費者の要望に応えて成長してきた。
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扱うのは、衣料品だけではない。米ナイキのスニーカーなどの靴に加え、ローラースケートやねずみとりなどの雑貨も幅広く展開。お店に来れば米国や欧州のライフスタイルを味わえるとして若者を多く集めた。
情報が少ない時代は足で稼いだ知見を商品で見せることで十分だったが、1990年代にネットが普及。さらにスマートフォンが当たり前のものとなったことで、セレクトショップは別の付加価値を模索する段階へと変わってきた。
■日本ブランドを世界に発信
2008年設立の TOKYO BASE 。コンセプトは「FROM JAPAN TO THE WORLD」。東京発ブランドや日本生産にこだわり、日本ブランドを世界に発信する目標を掲げる。17年2月期の売上高は、前の期比54%増の93億5000万円。日経MJの16年度「日本の専門店調査」では、売上高伸び率が全業種を通じて首位と人気を集める。
アーバンリサーチ(大阪市)は14年から地場産業と組んで商品を開発する「 " JAPAN MADE " プロジェクト」を始めた。東北の若手漁師と組み、陸でもおしゃれに着られる漁師用の作業着などをつくった。
米国の文化を持ち込んだビームスも、日本の魅力の発信に活路を見いだす。16年に全面改装した旗艦店「ビームスジャパン」(東京・新宿)では、日本をテーマに全国各地からセレクトした衣料や雑貨、伝統工芸品を扱っている。これまでは輸入ブランドを数多く取り扱ってきたが、20年の東京五輪を見据え日本文化の発信拠点にする。
■海外も高品質の日本製に注目
セレクトショップは従来、海外の良質な商品を輸入するのが主流だったが、その逆の流れが消費者に新鮮に映っている。
海外からも日本製に注目が集まっている。世界的な高級ブランドが国内の染色工場や生地メーカーと契約するなど、日本製の質の高さは海外でもよく知られる。国内市場が縮小する中、日本製を武器に海外市場に進出する企業も増えている。
TOKYO BASE は17年4月、海外1号店となるステュディオスを香港に出店。売れ行きが好調のため、半年前倒しで11月に香港2号店を開設。ユナイテッドアローズも10月、主力業態「ユナイテッドアローズ」で台湾に2号店を出店。日本人デザイナーが手掛けるブランドを押し出して、アジアの需要を開拓する。
[日経産業新聞 2017年8月23日付を再構成]
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