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2020年から見える未来

メガバンクもLGBTを「認知」 五輪に押され企業動く福利厚生から商品・サービスまで、経営トップの判断が左右

2017/11/20

2020年から見える未来

WWP2017ではLGBT当事者らのセッションも開かれた(10月11日、東京・大手町)
WWP2017ではLGBT当事者らのセッションも開かれた(10月11日、東京・大手町)

企業による性的少数者(LGBT)への対応ルールが急速に進化している。社内制度にとどまらず、商品・サービスでもLGBTの当事者から「高い壁」と見られていたメガバンクが動き出した。追い風となっているのが2020年の東京五輪・パラリンピック。五輪憲章は性的指向による差別を禁じており、企業の受け入れ体制作りが一段と進みそうだ。

10月11日、LGBTと職場の問題を考えるイベント「ワーク・ウィズ・プライド(WWP)2017」が都内で開かれた。同日はLGBTが自らについて告白する「カミングアウト」を祝う国際的な日。当事者らが自らの体験や現況を語り、企業の人事担当者ら500人が聞き入った。

「かつて『御社は外資だからできる』と言われたが、フェーズは変わった」。日本IBMで人事・ダイバーシティ企画を担当する梅田恵部長はこう指摘する。同イベントに12年の第1回から関わったが「このテーマに関心を持ち取り組む国内大企業が飛躍的に増えた」という。経団連も5月に企業のLGBT対応を推進する提言を発表した。

法律関係者も活発に動いている。東京弁護士会は15年6月に有志の弁護士による「LGBT法務研究部」を立ち上げた。部長の五島丈裕弁護士は「既存の法がLGBTを想定していないために起きていた権利侵害がようやく問題視され始めた」と話す。

現状では厚生労働省がセクハラ関連指針に「同性間も対象」と明記している以外、労働法など企業に直接関係するルールにLGBTについての規定は見られない。ただ20年に東京五輪・パラリンピックを控える。五輪憲章は性的指向による差別を禁じており、五島氏は「20年を目指し体制づくりを始める企業はさらに増えるのでは」とみる。

では具体的にどう対応するか。一つは福利厚生など社内制度の整備だ。WWPはLGBTの人が働きやすい企業を評価する指標を策定、2回目の17年は109社が応募した。運営委員会の川村安紗子氏は「配偶者手当などで同性パートナーを登録できる動きの広がりが目立つ」と評価する。

企業に大きな影響を与えたのが自治体だ。15年11月、東京都渋谷区は条例に基づき、結婚に相当すると認めた同性カップルに「パートナーシップ証明書」の発行を開始。公正証書を発行の条件とし、すでに23組に交付した。他の自治体にも条例によらない証明や宣誓の制度があり、17年6月には札幌市が政令指定都市で初めて導入するなど全国に広がりつつある。

法的拘束力はなくても公的な手続きの裏付けになるため、特に渋谷区の証明書は企業の商品・サービス面の対応に変化をもたらした。証明書を条件に通信料金の家族割引や保険受取人指定の対応をする動きが相次いだ。

LGBTの当事者から「最も大きな壁」とみられていた業種も動き出した。メガバンクだ。みずほ銀行は7月、同性パートナーでも共同で住宅ローンが組めるよう商品を改定した。

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トランスジェンダーは対応事例少なく