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古典落語クイズ この中で「光るもの」は何でしょう?

立川談笑

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NIKKEI STYLE

テーマは「光るもの全般」。ということで、今回は光るものが登場する古典落語を集めました。クイズ仕立てにしましたよ。落語に明るい皆さん、それぞれの演目にどんな「光るもの」が出てくるか、考えてみてください。もちろん初心の方向けに、解説や引用もオーソドックスかつ丁寧にしていくつもりです。

ではまいります。いったい、何が光ってるのでしょうか? ピカピカッ!

Q:『たがや』

両国橋の上。花火見物客でごった返す人込みの中で、たがや(桶職人)さんが侍たちを相手に大喧嘩(おおげんか)を演じる話です。

 「見渡せば、淡雪花火橋の下。値千万、両国の景。そんな花火当日のお話です……」

江戸の夜空に開く大輪の花火。ギラリと光る刀には、色とりどりの花火の光が反射していたことでしょう。あざやかな色彩があふれる、私の中では最もビジュアル度が高い一席です。

(A:光るもの……花火。刀)

Q:『お血脈(おけちみゃく)』

信濃の善光寺にある「お血脈の印」の力によって、だれでも極楽往生ができるようになったというのが前提で。罪人の激減でほとほと困り果てた地獄の閻魔(えんま)大王が、大泥棒石川五右衛門に命じてお血脈の印を盗み出すべく現世に送り出します。ファンタジックな落語です。

 「本田善光というお侍さんが難波池のほとりを歩いていると、『ヨシミツ、ヨシミツ』と声がする。見るとボーッと光っておりまして『世は信州にまかり越したいぞ』。これが善光寺の由来で……」

(A:光るもの……仏様)

Q:『蔵前駕籠(くらまえかご)』

幕末の混乱期が舞台です。遊興のため吉原を目指す駕籠を狙って、蔵前通りに浪人たちによる追いはぎが横行しました。そんな中、危険をかえりみず吉原を目指す男の物語。

 「ドギドギする長いやつを引っこ抜くってぇと、『こぉれ、駕籠の中の仁(じん)にもの申す。我々は故あって徳川家にお見方をする浪士の一隊である。中におるのは何者か。おい、龕灯(がんとう)をこちらに向けろ』……」

(A:光るもの……刀、がんとう)

Q:『松山鏡(まつやまかがみ)』

誰ひとりとして鏡というものを見たことがない村。お上から褒美に頂いた鏡をめぐって、夫婦でいさかいが巻き起こります。「鏡」がとてつもない高級品で神秘的だった時代を今からでは想像しかねますが、それでも十分に楽める落語です。原話のルーツをたどると古代インドにまでさかのぼるとか。歴史としては最も古い古典落語かもしれません。

 「『こそこそ毎日何してるかと思って見てみたら、ウチの人ったら女を隠してやがったんですよぉ』。相談された尼さんが鏡をのぞき込んだ。『申し訳ないってんで、中の女は坊主になった』」

(A:光るもの……鏡)

Q:『猫久(ねこきゅう)』

いつもは猫のように温和で怒らない久兵衛さんは、あだなが猫久。ある日、そんな猫久が血相を変えて刀を持ち出す騒ぎに、町内は騒然とします。

 「耳がぴょこって立つってぇと目がピカピカッっと光りやがって、風ぇ巻いてピューって飛んでいきやがった」

(A:光るもの……目)

Q:『湯屋番(ゆやばん)』

道楽者の若旦那が親から家を追い出された揚げ句、銭湯で働く話です。番台に座った若旦那は、仕事そっちのけでこれから女湯に来る客と仲良くなる妄想が止まりません。

 「そうこうしてるうちに雷まで鳴るよ。『あら嫌だ。おキヨや、蚊やりをつっておくれ』。遠くで鳴ってるうちはいいよ。そのうちにだんだん近づいてきてゴロゴロゴロ……ピカッ! ドドーン! 女は目を回しちまう。『ねえさん、しっかりしなせえ』。盃洗(はいせん)の水を口に含むってぇと、口から口への、口移し!……」

(A:光るもの……雷)

Q:『芝浜(しばはま)』

冬の話です。酒におぼれてまるで仕事に出なくなった魚屋と、なんとか支えて立ち直らせようとする女房の人情噺(ばなし)。亭主は芝の浜辺で大金の入った財布を拾ったのに、それは寝ている間に見た夢なのだと女房は嘘をつき続ける……。ああ、こうして書いているだけで胸が熱くなります。奇跡の名演といわれた談志の芝浜をはじめ、現役の落語家たちによる様々な工夫を凝らした演出も花盛りです。

女房に背中をおされ、しばらくぶりに仕事に出た朝。浜辺に出て、冷たくも爽やかな潮風に吹かれるうちに魚屋本来の魂が立ち上がってくるところ。私はあのシーンが大好きです。

(A:光るもの……昇る朝日)

Q:『死神(しにがみ)』

ふいに死神に見込まれた男が「死神を追い払う呪文」を授けられて、医者として活躍するようになります。一時は名医として名をはせますが、最後の最後に死神との約束を破ってとんでもないことになる話です。

終盤、死神に連れていかれた謎の世界では真っ暗い中に見渡す限り、人の寿命をあらわす蝋燭(ろうそく)が立ち並んでいます。

 「その蝋燭の火を移せねえと、おめえは死ぬぞ。ほれ、消えるぞ。消えるぞ……」

(A:光るもの……蝋燭の明かり)

Q:『権助提灯(ごんすけぢょうちん)』

ある夜、別宅の若い女性のところに向かおうとする旦那様とお供の権助の話。女同士のプライドに挟まれて、本宅と別宅との間を何度も右往左往させられるはめになります。

これはタイトルに提灯とありますから、クイズにはなりませんね。ほかにも蝋燭に関わる明かりが登場する古典落語は、いくらもあります。怪談『牡丹燈籠(ぼたんどうろう)』では美しい絵があしらってある燈籠。『時そば』では屋台にしつらえたあんどん。人力車が主役の『反対俥』には梶棒(かじぼう)につけられた提灯が登場します。

 「権助、提灯に灯を入れろ!」
 「うはは。消さねえで待ってた」

(A:光るもの……提灯)

Q:『抜け雀(ぬけすずめ)』

舞台は宿場町。粗末な旅籠(はたご)の主人が、天才的な絵描きに翻弄される話です。そまつな身なりの若い客が、宿泊代のかわりとして絵を描き残して立ち去りました。その後、絵からスズメがなんと3Dで飛び出すと大評判になります。そこへ訪れた老紳士が、その絵の致命的な欠陥を指摘して……。と、そろそろ映画の宣伝のようになってきました。ぜひぜひ落語を聴いてくださいねという思いの表れです。

 「その眉(まみえ)の下にピカピカ光ってるのは何だ? 目か。見て見えない目なら、くりぬいて後へ銀紙でも貼っておけ」

(A:光るもの……目。朝日を浴びるスズメの絵)

Q:『鰍沢(かじかざわ)』

雪深い山奥での話です。猛吹雪の中で遭難しかけた旅の男が一軒の民家にたどり着きます。旅人は諸国を巡る商人で、身に着けていた大金のために命を狙われることに。山岳サスペンス落語。

 「膝よりもまだ深い雪をかきわけかきわけ、逃げていく。振り返ると月明かりの向こうから、ちらちらと火縄が近づいてくるのが見えます」

(A:光るもの……吹雪の中の一軒家の明かり。猟銃の火縄)

Q:『鼠穴(ねずみあな)』

江戸に出てきた兄弟にまつわる出世話です。商売に成功した兄を頼って弟が田舎から出てきました。あまりに不人情な兄と、それに発奮して死に物狂いに働いて成功を勝ち取った弟。数年後、二人は再び顔を合わせます。

火事は古典落語の中に『火事息子(かじむすこ)』『富久(とみきゅう)』といくつも登場しますが、火の手が燃えさかる描写の迫力にかけてはこの話が一番です。

 「『お願いだ。頼む。残ってくれ!』。祈る心をあざ笑うかのように三番蔵が、ガラガラガラッ! 音を立ててねじ切れるように焼けて落ちた。これには気丈な男もさすがにがっくりと肩を落として……」

(A:光るもの……火事の炎)

いかがでしたか。落語という芸能は、言葉だけが頼りです。映像はありません。聴くお客様の頭の中にまざまざとその光景が広がるかどうかは、まずは落語家自身の想像力が大切なのです。(……うーむ、今回はいまいち落ちが決まりませんねえ。もっと光を!)

 ◇   ◇   ◇

さあ、次のテーマは「寒いったらありゃしない」。笑二から行ってみよう!

(次回11月5日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑
 
1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。

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