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父の形見、涙で食べた炸醤麺 古舘伊知郎さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

スポーツ実況からバラエティー番組、何でも来いの話芸の達人。キャスターを務めた「報道ステーション」(テレビ朝日)の12年間、夕食時間はわずか7分。時間を取り戻すように、いまは大好きな炭水化物を頬張る。その姿は父親の炸醤麺をすすった大食漢時代と重なる。

好物はカレーのジャガイモ

幼少期は体が細かった。幼稚園も休みがちで、食欲もない。父親からは「もっと食べろ」と毎日のように言われた。当時はふくよかな体形が健康とみなされていた。

小学4年生の時、担任の先生から体重が増えたことをほめられた。「家庭訪問の時で、母も安心していた」。太れば先生が認めてくれて、親も喜ぶ――。食への興味が湧いた瞬間だった。

その後はとにかく食べるように。好物は炭水化物で、お気に入りは母親のカレーライス。なかでも「豚肉やニンジンを乗り越えてホクホクのジャガイモをかみしめると、やっと出合えたという感慨がある」。ジャガイモ好きは終生変わらないと断言する。

好物や親の愛情を糧に、少年はみるみる大きくなった。ズボンが入らなくなり、東京・池袋の百貨店にあった「肥満体コーナー」へ通った。「当時の豊かさの象徴みたいな場所。子どもで足を運んだのは自分が初めてだと思う」と胸を張って振り返る。

中学2年生の時には、肥えた体を心配した母親に病院へ連れて行かれた。弁当から炭水化物が消え、食事療法が始まった。3カ月で20キロもやせ、見事成功。「当時は思春期。モテたい気持ちが支えてくれた」。しかし翌年に大失恋。その反動からか、再び大食漢と化した。

テレビの世界へ飛び込んだ当時はふっくら体形。プロデューサーから「太ったやつは映せない」と暴言を浴びた。コンニャクの加工品で減量を始め、現在の体形に至る。

自分の食事を脳内で実況

アナウンサーとしてプロレス実況を始めた頃、練習のため自身の食事の様子を脳内で実況するようになった。「しゃべりの根本には味覚の貢献もあった」

たとえば、先輩に連れて行ってもらったインドネシア料理。ナシゴレンを口にして、「かつて日本の統治下にありましたが、食を通じて再びつながりました!」。インド料理店では「店主がタンドリーチキンの串を釜から上げました。それはまさにプロレスラー、タイガー・ジェット・シンのサーベルのようだ!」。

話芸を極めようと奔走していたある日、高校・大学の先輩であり、当時、文化放送のアナウンサーであったみのもんたさんに呼ばれた。天ぷら屋でのランチ。「何を言われるんだろう」と緊張した。

みのさんは一言、「フリーになろうと思う」。しゃべりを武器に、全国で勝負する。先輩の熱意に触れ、自分にも火が付いた。「天ぷらを食べながら、自分もフリーになれるほど売れてみたいと思った。天ぷらを見ると、当時の気持ちがよみがえってくる」

やがて自身もフリーアナウンサーに。音楽番組「夜のヒットスタジオ」(フジテレビ)や「NHK紅白歌合戦」の司会を務めた。多忙を極めていた20年ほど前のある日、忘れられない味と思わぬ形で再会する。父親の得意料理だった炸醤麺だ。

「もっと食べろ」 父の言葉を支えに

父親は心筋梗塞で突然逝った。見送って落ち着いた数日後、冷蔵庫に炸醤麺の具材を発見。亡くなる前日に父親が仕込んだものだった。「その日は家族で泣きながら炸醤麺を食べた」

中国で生まれ育った父親は料理上手。週末に豚ひき肉やキュウリ、タケノコ、麺を用意し台所に立っていた姿が目に焼き付いている。食が細かった頃に、父がかけてくれた「もっと食べろ」との言葉がよみがえる。食べて活力をつけ、一層仕事にまい進した。

2004年、キャスターとなり平日夜の楽屋弁当生活が始まる。「政治や経済に関しては素人同然。でも声がかかった以上、期待に応えたい気持ちはあった」。大好きな食べる時間を削る覚悟をした。

夕方から打ち合わせをこなし、新聞を隅から隅まで読み、臨時ニュースが入るとまた打ち合わせ。「時間が空くとプロデューサーや局のアナウンサーは社食へ行ったが、自分は12年間一度も行けなかった」と悔しさをかみしめるというよりは誇らしげに語る。

現在もテレビやラジオに引っ張りだこだが、食生活は変わった。「夜にゆっくり、好きなものを食べられるのは幸せ。でも時々、あの忙しかった頃が懐かしくも感じる」。満腹の先には、夜の顔の再登板を匂わせるものがあった。

体調不良に黒豆サラダ

「前日に体調が優れない時に行く」という、東京・渋谷の「MOMINOKIHOUSE(モミノキハウス)」(電話03・3405・9144)。昨年、開店40年を迎えた。農薬や除草剤はもちろん、有機肥料も使わない自然栽培にこだわった、マクロビオティック中心のレストランだ。

「前の日の不摂生をゼロにする罪滅ぼし」に頼むのが「自然栽培の黒豆サラダ」(1200円)。北海道産の黒豆は歯応え抜群。下にはキャベツが敷かれ、食用の花であるゼラニウムと、スイートアリッサムを載せている。山形産のブドウも添えてあり、栄養たっぷりだ。素材本来の味を楽しむため、基本的にドレッシングはない。ランチとディナーがメニュー制で、ディナーの時間帯にはアラカルトも提供している。

最後の晩餐

お酒を飲みたいですね。ビール、ウイスキー、ワイン、日本酒。何でもいい。近しい人たちと語らいながら飲みたい。そこにジャガイモがあればなおいい。焼いたものでもふかしたものでも、最後に口に運ぶのがジャガイモならベスト。

(田村匠)

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