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村をのみ込む泥火山、6万人が自宅を放棄 原因を解明

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

2006年、インドネシア、ジャワ島の5カ所で、地面から泥の川が噴き出し始めた。現在もまだ、泥を吐き続けている。

この災害「ルーシーの泥噴出」(泥火山とも呼ばれる)は、今では16平方キロ近くにまで範囲を広げている。ピーク時には、一帯を覆う泥が毎日およそ17万立方メートルずつ増えていた。

2017年の夏に学術誌「マリン・アンド・ペトロリアム・ジオロジー」に掲載された論文で、その被害規模がまとめられている。著者らは、一部の村は高さ約40メートルもの無情な泥に埋まったことを確認。また、これまでに6万人が自宅を捨てることを強いられ、13人が亡くなった。

そしてこのほど、アメリカ地球物理学連合(AGU)の学術誌「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ」に、この泥流の源を突き止めたとする新しい研究結果が掲載された。ノルウェー、スイス、インドネシアの研究者から成るチームによると、泥火山からの噴出が止まらないのは、近くの火山系とつながっているためだという。

ルーシーの活動が起こった仕組みがわかれば、火山や熱水噴出孔、間欠泉といった仕組みがどのように発達するのかを解明する手がかりとなりそうだ。

泥火山とは

泥火山も、溶岩を噴出する火山も、2つの構造プレートが出会う沈み込み帯に現れることが多い。インドネシアは、地球で最も活発な沈み込み帯がある場所の1つだ。高温のマグマが絶えず地表へと上昇することで、その地域の火山が活動し続けている。

一方、地中でメタンや二酸化炭素といったガスが生成されることで、岩石や堆積物の層に強い圧力がかかることがある。その圧力が解放されると、泥火山の爆発的噴出が起こる。

なぜこれほど長く続いているのか

では、なぜ数十万立方メートルもの泥が11年にもわたって噴出し続けているのだろうか。地球の内部で何が起こっているのだろうか。研究チームによれば、ジャワ島東部にある火山群、アルジュノ=ウェリラン火山複合体に原因があるという。

研究チームはその根拠として、ルーシーから吐き出されたガスが、マグマの中に見られる化学物質に近かったことを挙げる。泥の噴出が始まる何年も前から、アルジュノ=ウェリラン火山複合体からのマグマが、ルーシーの下にある堆積物を「焼いて」おり、絶えず圧力を高めていたと論文は主張している。

ルーシーとこの火山複合体との関連は、3次元構造を把握する断層撮影法(トモグラフィー)を使った調査でも判明した。研究チームは地震計31台を配置し、アルジュノ=ウェリラン火山複合体の最北端にあるマグマだまりから、ルーシーがある堆積盆地につながるトンネルを発見した。

論文の主著者、アドリアーノ・マッツィーニ氏はこう述べている。「全ての仕組みが噴出の前から存在しており、何もかも用意が整い、引き金が引かれるのを待っていたということを、私たちの研究は示しています」

アルジュノ=ウェリランからのトンネルがルーシーにつながっていたことを示す調査結果に、すべての科学者が納得しているわけではない。豪アデレード大学の火山学者マーク・ティンゲイ氏は、「論文のデータは正確にチェックされておらず、以前の測定との矛盾がある」と述べた。

噴出のきっかけに諸説

泥が噴出するようになったきっかけについて、マッツィーニ氏は「何であれ過度の圧力を地下にため込めば、必ず逃げ道を探して地表に出てきます。それがルーシーです」と語る。

危険な泥噴出が始まった正確なメカニズムについては、この10年で活発な議論が交わされてきた。たまっていた圧力を放出させるきっかけが何らかの振動にあるという点では、科学者たちの見方は一致している。しかし、その振動の原因については意見が分かれている。

2007年に学術誌「GSAトゥデイ」に掲載された研究では、泥噴出の原因はガス試掘井であり、これが地下約2800メートルにある高圧の岩石を刺激したとの説が出された。最近「マリン・アンド・ペトロリアム・ジオロジー」に掲載され、マッツィーニ氏も著者に名を連ねる冒頭の論文では、泥噴出が始まる数日前にジョグジャカルタ付近で発生したマグニチュード6.3の地震が、引き金を引いたと論じられている。

正確な原因が何であれ、ルーシーの活動が近いうちに止まる気配はないということを多くの研究は示している。

(文 Sarah Gibbens、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年10月24日付]

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