2017/11/4

ルーシーとこの火山複合体との関連は、3次元構造を把握する断層撮影法(トモグラフィー)を使った調査でも判明した。研究チームは地震計31台を配置し、アルジュノ=ウェリラン火山複合体の最北端にあるマグマだまりから、ルーシーがある堆積盆地につながるトンネルを発見した。

論文の主著者、アドリアーノ・マッツィーニ氏はこう述べている。「全ての仕組みが噴出の前から存在しており、何もかも用意が整い、引き金が引かれるのを待っていたということを、私たちの研究は示しています」

アルジュノ=ウェリランからのトンネルがルーシーにつながっていたことを示す調査結果に、すべての科学者が納得しているわけではない。豪アデレード大学の火山学者マーク・ティンゲイ氏は、「論文のデータは正確にチェックされておらず、以前の測定との矛盾がある」と述べた。

噴出のきっかけに諸説

泥が噴出するようになったきっかけについて、マッツィーニ氏は「何であれ過度の圧力を地下にため込めば、必ず逃げ道を探して地表に出てきます。それがルーシーです」と語る。

危険な泥噴出が始まった正確なメカニズムについては、この10年で活発な議論が交わされてきた。たまっていた圧力を放出させるきっかけが何らかの振動にあるという点では、科学者たちの見方は一致している。しかし、その振動の原因については意見が分かれている。

2007年に学術誌「GSAトゥデイ」に掲載された研究では、泥噴出の原因はガス試掘井であり、これが地下約2800メートルにある高圧の岩石を刺激したとの説が出された。最近「マリン・アンド・ペトロリアム・ジオロジー」に掲載され、マッツィーニ氏も著者に名を連ねる冒頭の論文では、泥噴出が始まる数日前にジョグジャカルタ付近で発生したマグニチュード6.3の地震が、引き金を引いたと論じられている。

正確な原因が何であれ、ルーシーの活動が近いうちに止まる気配はないということを多くの研究は示している。

(文 Sarah Gibbens、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017年10月24日付]

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