変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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大企業のミドルリーダーには、通り一遍のビジネススクールでは学べない「人に影響力を与えたり、時には意のままに操るような、もっと泥臭いヒューマンスキル」が必要――。このように説いたビジネス書「ダークサイド・スキル」(木村尚敬著、日本経済新聞出版社)が話題だ。ダークサイド・スキルとはどんなスキルなのか、本書の一部を転載して紹介する。今回は7つのスキルの2つ目「KYな奴を優先しろ」だ。

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KYな部下を育てる

現場を預かるミドルが、自部門にどれだけ多様性を持たせられるか。私は多様性とは、何も外国人や女性の活用ばかりを指すのではなく、組織の中の大多数を占める新卒入社のプロパー社員の中に、どれだけ堂々と他とは違った意見を言う人間がいるか、そしてこうしたKYな人間をどれだけ許容できるかということだと考えている。

同質化した組織では、空気を読まず、時には反対意見を堂々と述べる人間ほど、組織の(悪い意味での)自浄作用が働いて排除されがちだし、なにより、そういう部下を持ったミドル本人の負担が大きくなる。それでも、そういうKYな発言をどれだけ拾えるか、どれだけ許容できるかという器の大きさが求められているのだ。

逆にいうと、組織である以上、どうしても同質化の圧力がかかり続けるから、自分に対してお伺いを立ててくる部下を持ち上げるのでなく、むしろ積極的に「バツ」をつけていく。KYな人間を優先するには、それくらいの準備が必要なのだ。

そのために重要なのは、上司が自分で答えを言わないことだ。上司としても忙しいので、何か聞かれたときに一番楽なのは、答えを言うこと、指示を出すことであるのは間違いないが、先に答えを言ってしまうと、部下はそこにすり寄ってきてしまう。上司の発言によって下の人間はどうしてもバイアスがかかるから、バイアスをかけずに思ったことを言わせるためには、「◯◯さんはどう思う?」と粘り強く問い続けることだ。自分のほうが職務経験が長いし、答えはわかっているかもしれないが、面倒くさくても「これをやっておけ」と言うのをグッとこらえて、部下に言わせる。そこを我慢できるかどうかで、KYな人間が育ち、上司の顔色をうかがわずに、自由にいろいろな意見を言える文化ができるのだ。

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