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目玉焼きには何をかけますか 千差万別、譲れぬ作法

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NIKKEI STYLE

今、私はTwitterのハッシュタグ「#ありのままの朝ごはん」がとても気に入っている。その名の通り、実際に食べている朝ごはんを写真に撮って投稿するだけなのだが、飾り立てた「ステキな私のステキ朝ごはん」ではない、ごく当たり前の日常がそこにはある。具だくさんの味噌汁とヨーグルトだけの人、家族のお弁当の残りをかき集めたワンプレート、食卓に出した瓶詰めの中身が日々減っていくのがわかるテーブル、どれも愛おしい。

住むところも違えば仕事も違う、年齢も性別も違う人たちの朝ごはん。しかしそんな中にも傾向はある。どの人も、目玉焼きをよく食べているのだ。

確かに朝には卵がぴったりだ。ごはんにもパンにも合うし、ある程度保存がきく。値段も安定しているし、コンビニでも買える。卵さえ食べていればなんとかなる、という安心感がある。

さらに朝はみんな忙しい。1分1秒とて無駄にできないのに、今日着ていく服が決まらなかったり、なぜか定期入れが見つからなかったりする。そんなときでも作れるものは何か?

目玉焼きだ。

オムレツじゃない、スクランブルエッグでもない、ゆで卵でもない。目玉焼きなのだ。

忙しさの度合いによって、また冷蔵庫の中身の具合によって、ありのままの目玉焼きの風景も変わる。サラダやソーセージ、フルーツなどが添えてあるのは、余裕しゃくしゃくの目玉焼き。皿にこそ乗っているものの、隣にあるのが餃子とバナナなどという不可思議なのは、残り物一掃の目玉焼き。ご飯かパンの上に目玉焼きどーん! 以上! なのは、もう後がない、遅刻寸前の目玉焼き。

ではその目玉焼きをみんなはどうやって食べているのだろう。まずは目玉焼きに何をかけて食べるのかを、Twitterで問うてみた。

一目瞭然、圧倒的なしょうゆの勝利である。特にご飯派はしょうゆの傾向が強いが、パンでもご飯でもしょうゆという人も相当数いる。また「先祖代々、しょうゆしかかけたことがない」「しょうゆ一択!」「食卓にはしょうゆしか置いてない」など、しょうゆ以外に目が向かない人が多いのも興味深い。

グラフには現れていないが、ソースはウスターと中濃の激しい戦い。それをそっと物陰から見ているとんかつ派、という内部分裂であった。塩派の言い分は「なんでも合う。何も邪魔しない」。またケチャップ派からは「ケチャップがなかったらどうやって絵や字を書けばいいのか」という切実な回答もいただいた。

そして今回も「選択肢を飛び越えた、自分だけの冴えたやり方」が実に面白い。

まず「どうして選択肢にマヨネーズがないのか」という、マヨ派からの指摘が相次いだ。申し訳ない。ゆで卵にはマヨネーズ必須の私ですら、こんなにマヨ派が多いとは思いもしなかったのだ。

「卵に合うのは、卵でできたマヨネーズしかない」「卵オンザ卵の美学」「黄身に火が通り過ぎてもマヨネーズをかければOK」など、とかくマヨ派は熱い。中には「しょうゆ、塩コショウ、ソース、ケチャップ、すべてやります。ただし全部マヨネーズと混ぜてからですけどね」とすべてをマヨネーズ色に染め上げる、マヨナイズ党も存在する。

油とのコラボを重視する一派も少なくない。「ご飯のときは胡麻油、パンのときはオリーブオイル」「バターで両面焼きが最高」「ピーナッツ油を使ってみて下さい。目から鱗が落ちますよ」「胡麻油で揚げるように焼いて胡麻ネギショウガ+たまりじょうゆ」と、それぞれ工夫をこらす。

さらに少数意見ではあるが「塩とラー油」「ゆかり」「ごまドレッシング」など、明日にも試してみたい味がある一方、「俺は調味料を食いたいわけじゃねえ」という、まさかのノー調味料派も。そしてもっとも衝撃だったのは「目玉焼きは味噌汁に入れるもの。単体でおかずにはならない」という人だった。本当に世の中は広い。

かけるものだけではない。目玉焼きといえば「黄身の固さをどうするか」問題も重要である。とろとろと流れる「ほぼ生」から、中は黄色を保っている半熟、完全に火を通したカッチカチまで、すべての状態に「これでなくては」というファンがいる。

焼き方にも譲れないものがある。弱火でじっくり焼くか。途中で水を差しフタをして蒸し焼きにするか。ひっくり返すか、返さないか。白身の周囲がチリチリと焦げることに執着する向きもある。

それぞれ「自分のやり方が正解」と信じて疑わないから面白い。「黄身は黄色いのが正義」と信じている人には、途中でフタをしてわざわざ白くするなんて信じられないし、両面焼き派にしてみればいつまでもジリジリ焼く片面焼きはイライラするだろう。

目玉焼きを目玉焼きとして食べるのは、ほぼ家の中だ。つまり私の大好物である「個人的に超進化したマイルールが適用される料理」である。寮生活でもしない限り、他人の「目玉焼きマイルール」を知ることは難しい。よく「基本の目玉焼きの作り方」などとネットに上がっているが、目玉焼きに基本などない。あなたの「普通の目玉焼き」と私の「普通の目玉焼き」は、見た目も味もまったく違うのだ。自分がイチバンおいしいと思うやり方を邁進すればいい。

ところで目玉焼きは、目玉焼きという料理として食べない場合もある。それは、何かの上に目玉焼きが乗っている場合だ。目玉焼きが乗ると、確実にその料理の「ごちそう感」はアップする。そのため和洋中さまざまな店で、さまざまな料理の上に目玉焼きは乗せられてきた。

学生時代に行きつけだったカレー店では、フライドエッグカレーが定番だった。カツじゃ重い、でも何かトッピングのひとつくらい乗せたい、そんなとき目玉焼きはうってつけだったのだ。のちに移り住んだ名古屋でも、行きつけのカレーうどん店では必ず目玉焼きを乗せたものだ。いや、むしろ目玉焼きが乗せられるから行きつけにしたのかもしれない。それほど目玉焼きが乗ることによる「ちょっとしたごちそう感」にはワクワクさせられた。

神戸に出張すると必ず行っていた焼きそば店は最初から目玉焼きが乗っていて、そこがたいそうお気に入りだった。そういえば打ち合わせによく使う喫茶店でナポリタンを頼む理由も、目玉焼きが乗せられるからだ。ああ、思い起こせば私の人生、ハンバーグに目玉焼きを乗せなかったことなどないんじゃないだろうか。なんてこった、私自身が大の目玉焼き好きだったのだ。

居職である私は「今日は忙しそうだ」と思った日には、朝ごはんのついでにお弁当を作り、家の中で食べることがある。忙しいのがわかっている日だ。お弁当といっても凝ったものではなく、残り物を適当にいためたチャーハンや混ぜご飯などにしてしまうことが多い。そんなときもご飯の上に目玉焼きさえ乗っていればゴキゲンだし、昼が待ち遠しくなる。

夜も引き続き忙しく、料理をする時間が取れないこともある。冷蔵庫の残り物を総動員しても、あとまだ何か物足りない、そんなときもやはり目玉焼きを焼く。私の持論で「ハムエッグのある居酒屋は、いい居酒屋」というのがあるが、ハム抜きだろうとエッグで飲む酒は最高にうまい。

ありのままの朝ごはんも、ありのままの昼ごはんも、ありのままの晩酌も、目玉焼きと共にある。人生の最後もきっと目玉焼きを食べているんだろう。ほんと最高だ、目玉焼きは。

(食ライター じろまるいずみ)

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