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がんと闘う人につけまつげを 乳がん経験者が患者支援

2017/10/31

 乳がんの罹患(りかん)は30代から増え始め、40代から50代前半でピークを迎える。仕事や家庭に最も忙しい時期に直面することが多い乳がん。自分自身が乳がんを乗り越え、仕事への復帰を果たした経験をもとに、がん患者を支える新たな仕事に取り組む女性を取材した。

■がん治療中の人に、専用の「つけまつげ」製品を

 アイメイク用品の中でも若い女性を中心に人気の高いつけまつげ。化粧雑貨メーカーのSHO-BIは、シェア約6割のつけまつげや、瞳の色や大きさを変えるファッション性の高いコンタクトレンズなど「目周りの美容商品」に独自の強みを持っている。

 2017年10月、社内にSSB(SHO-BI Smile Beauty、以下SSB)という名前のプロジェクトがスタートした。がん治療中の人が直面するまつげ、まゆ毛の脱毛の悩みに対応する、新しい商品の開発が狙いだ。

SHO-BI商品企画本部 SSBプロジェクトマネージャーの山口弥佐子さん(写真:稲垣純也)

 「医療用のウィッグ(かつら)はいろいろありますが、つけまつげは安心して使えるものがないんです」。SSBプロジェクトマネージャーの山口弥佐子さんはこう説明する。抗がん剤治療中は副作用で頭髪やまゆ毛、まつげが抜けてしまうことが多い。特に働きながら治療を続ける女性は、外見の印象がなるべく変わらないようウィッグやメイクで対応する人が多いが、抜けたまつげに対応できるメイクはつけまつげだけ。しかし、治療中は肌が敏感になり、つけまつげのグルー(接着剤)の刺激でかぶれるのを心配する人もいるという。また、通常のつけまつげは自毛があるのを前提にデザインされているので、脱毛した人が使うと不自然になりがちだという。

 そこでSSBでは、肌に負担をかけずに接着力を維持できるグルーの処方を協力メーカーと一緒に研究中だ。つけまつげの長さやボリュームも、治療中の人にとって最適なものを、患者会やがん治療の経験者、医師などの意見を聞きながら開発していきたいという。第1弾の製品は来年5月ごろの発表を目指している。

様々な既存のつけまつげ製品をがん経験者に試してもらい、意見を取り入れた最適な製品を開発したいという(写真:稲垣純也)

 山口さんは自身が乳がん経験者だ。これまで仕事では、瞳を大きく魅力的に見せるメイク発想のコンタクトレンズ商品、「コスメコンタクト」の開発にかかわってきた。

 ある日ふと、胸の内側に、ゴマ粒のような小さな固まりがあるのに気付いた。「少し様子を見ていたが、やはり徐々に大きくなってきた」。乳がんと診断され、2年間休職して治療に専念した。治療中は「治ったら何がしたいのか、これからどう生きていこうかと考えました」。そんな中、病院で出会った同じ乳がん患者の女性たちが心の支えになったという。

 「治療しながら元気に働いている人も多いし、ステージ4でも活発に活動している人もいる。そんな人たちと情報交換して、刺激とパワーをもらいました」。医師が「君たち、よくそれだけ話すことがあるね」と驚くほど、顔を合わせれば病院のカフェなどで和気あいあいとおしゃべりを続けた。そして次第に、同じような苦しみを抱えている人向けに何かがしたいと思うようになったという。

 SHO-BIの寺田正秀社長から復帰後のことについて聞かれたとき、山口さんは即座に「がん患者さんのために、SHO-BIが得意な『目周りの美容』で助けになることをやりたい」と答えた。17年5月に復帰してすぐSSBの準備に着手。今後、広報や総務部門と連携して、CSR(企業の社会的責任)活動にも取り組む予定だ。さらに、女性社員が過半数を占めるSHO-BIの社内向けに、乳がん予防の啓発活動もしていきたいという。

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