公益財団法人の大阪観光局(大阪市)は2018年2月から、大阪を訪れたインバウンド(訪日外国人)客が夜間に楽しめる店舗の認証事業を始める。まず言葉が分からなくても楽しめるセリフのないショーやマジックバー、音楽バーなど15店舗程度を選ぶ。半年ほどかけて課題を把握したうえで、認証店舗を増やす方針。ウェブサイトや紙媒体を使って認証店舗の情報を訪日客に提供する。
訪日客が安全に楽しめる「ナイトカルチャー」店舗の認証は、大阪観光局や行政などが立ち上げる協議会が担う。午後9~午前0時の訪日客向け割引プランの提供や多言語メニューの用意なども認証の条件となる。
大阪観光局は訪日客の夜の行動を調査するため、大阪市内を中心に大阪府下で提供する無料Wi―Fiの利用状況を分析した。訪日客の午後10時~午前0時の利用件数は午後8~10時に比べ約40%も減少した。一方、日本人観光客の利用件数は約10%の減少にとどまった。
大阪観光局の担当者は「日本人観光客が大阪のナイトライフを楽しんでいるのに対し、訪日客は午後10時台に一斉にホテルに戻っていると推測される」と指摘。「認証事業などで夜10時以降の観光資源を訪日客にアピールすれば、需要を掘り起こせる」とみている。
大阪観光局は大阪府と大阪市、地元経済界が共同で運営している、両地域の観光振興の司令塔。夜遊びしやすい店に公的な認証を与えるのは全国でも珍しい。
[日本経済新聞朝刊2017年10月25日付を再構成]