鍋のシメにラーメン 韓国や台湾では袋めんをそのまま
ご当地鍋物(2)
肌寒さに鍋物が恋しくなってきた昨今。さて、この鍋は何だろう?
実家では酢じょうゆだったりレモンじょうゆだったりしましたが、あっさり味でいくらでも食べられました。今でも時々作ります。材料さえあれば、お湯がわく間にすべての準備が出来てしまう簡単鍋ですね。献立に疲れた主婦に優しいと申せましょう(東京のあさちゃん)
ほうれん草鍋も常夜鍋と同じであろう。実は私も作る。材料、味付けとも東京のあさちゃん家と同じである。おふくろの味がどうしたこうしたというタイトルの料理本に出ていた。子どもに結構受けたのであった。
常夜鍋が隣国に飛び火する。
以前、「老湯火鍋」というものを食べたことがあります。太極マークのような仕切りのある鍋に白濁したスープと、赤い恋人や漢方薬が色々入った赤いスープが張ってあり、そこへ肉や野菜を入れて食べるというものでした。
で、そのときは「おいしい、おいしい」と食べたのですが、後日、新聞で本場中国で「老湯」というのは使い古したスープのことで、先の客がこの鍋料理を食べて帰った後、店員が食べ物のカスを網杓子でていねいにすくい取り、次の客に出すもので、その鍋料理屋が老舗であればあるほど、肉や野菜のうまみがたくさん溶け出した「おいしいスープ」である…と書かれてました(ギョエー!)。
しかも、火鍋の店を新規開店する店主は、老舗にスープを分けてもらいに行くとか。
「老湯(ラオタン)」の「老」って、そういう意味だったの???(ちりとてちんさん)
で、雑炊楽しみだね~~と日本人チームが心待ちにしていたところ、小鉢に入った雑炊が運ばれてきました。フグのだしで卵でとじてあって、普通に「鍋の後の雑炊」でした。
我々が食べていた鍋の残りは、店のおばちゃんが持って行ってしまいました。えーそのおだしはどうなるのー!! と日本人チームの中に衝撃が走りました。捨てちゃうの? それとも誰かの雑炊になるってこと? じゃあこの雑炊は…と日本人チームみんなで複雑な気持ちになりながら、出された雑炊をいただきました。すごくおいしかったですけどね、お鍋も雑炊も(きぬこん@東京都さん)
韓国版老湯の疑いが濃厚。
台湾では。
それでバイキング形式で具をとってくるんですが、そん中に袋入り即席ラーメンの麺がありまして、だいたい鍋も締めに近くなるとこいつをどぼんと放り込んで煮てから食べてる人がまわりに結構いました(RKさん)
友達と2人で食べたのですがとてつもない量だったので、残さず食べるのに苦労しました。なんとか食べ終わり、もう何も食べられないと思っているところに、店員さんがやってきました。
「雑炊? うどん?」
「は?」
「残ったスープ、何入れる?」
「えぇぇぇ! もう、食べられませ~ん! 結構です~!」
と首をぶんぶんと振る2人に「台湾の人、みんな食べるよ」と…。台湾の人って食べるのね…、とその時思いました(REIさん)
このように台湾でも鍋にはシメがある。雑炊が多そうだが、袋入りインスタントラーメンという手もあるらしい。チキンラーメンでやったらどうなるのかなあ。いいかも。
ラーメンでつながった。
北海道の特殊事情かどうかはわかりませんが鍋物のシメ「ラーメン」というのも結構頻度が高いです。他地域ではいかがでしょうか? 鍋を食べた後にラーメン屋に遷移するのではなく、食べ終わった鍋に「ラーメン玉」が投入されております(札幌の二児のパパさん)
これのシメは生ラーメンをよくだしのでた鍋の中に投入して、たれにつけて(鍋の煮汁をたれに加えてもなお可)食べます。ンめどぅ~。
「ラムしゃぶ」はジンギスカン同様、○○○円食べ放題の店が何店かありますが、最後のラーメンを楽しみにして少し腹加減をしておいた方がよいかも。ねぇデスク(石仏頭@江別さん)
このように、北海道のラムしゃぶはラーメンで締めることが多い。東京の下谷にある鍋で有名な居酒屋の場合は生のそばを投入する。打ち粉も一緒に入るので鍋は白濁するが、鍋の出しがそば湯化するので一石二鳥である。こっちもンめどぅ~。
冬の肌寒いころに食べられる料理で、現在は鍋ではなく椀ものや煮物的な扱いですが、昔は中国の火鍋子のような煙突鍋で作られていたようです。入れる具も多彩で、韓国の神仙炉(シンソルロ)と非常に似ております。
ただこの「煙突鍋で作るヌンクー鍋」を食べさせるお店を見たことも聞いたこともありません。すでに廃れてしまったのかもしれません。これを機に「沖縄幻の鍋料理 ヌンクー鍋」が復活するといいですね(沖縄チャンポンさん)
皆さんからのメールは、読んでいて本当に楽しい。
そういえば、昔飼っていた犬は雑炊をあげると狂喜しておりました。犬にも分け前をあげるのが前提だったので、ネギとか犬に影響のある食材が使えなかったのですがおいしかったです(ローリーさん)
炭水化物ダブル締め。獣医さんに聞いたところワンコにタマネギを食べさせると血が溶けるからだめだって。子どものころに飼っていた雑種のミッキー君にはタマネギの味噌汁ぶっかけご飯をしょっちゅう食べさせていた。ごめんね。知らなかったの。
また「韓国ならでは」のシメがインスタントラーメン。乾麺の状態もしくは少しゆがいたものをお鍋に入れます。
麺だけ鍋に入れると粉末調味料は無駄になってしまうので、韓国では鍋の締め用に麺だけがパックされた業務用のものもあるほどです。他にも餅やうどんを入れる場合もあり「サリ」というこのシメ用の具材を総称する単語もあります(ペクソリさん)
韓国では鍋の最後にインスタントラーメンを入れることは知っていたが、専用のラーメンがあったのか。なるほど粉末は不要。
おでん、ドテ煮も鍋物と拡大解釈すれば味噌串カツのルーツと思しき味噌おでんがあります。砂糖の入った赤味噌のスープでおでんの具が煮てあり、その中に串カツを漬けて食べます。当然2度漬け禁止です。小生も含めて庶民の味方で軒先での立ち飲み食いが一番。2000円もあればビール大瓶2本を飲んでもお釣りが戻ってきます。名古屋駅近くの「のんきや」、名鉄堀田駅近くの「どての品川」が有名です(粕取り焼酎愛飲家さん)
「ひきずり」とは名古屋の方言で「すき焼き」のこと。肉を引きずって焼くことからその名がついたとか。「ひきずり鍋」とも。
材料は会場によって多少違いはありますが鶏肉、里芋、野菜、うどんといった感じです。だしが寄せ鍋のように味がついているので、たれなどはつけずにいただきます。
量が足りない場合などは持ち込み可のところがほとんどなので、自ら持ち込んだものなども投入します。特にうどんは加ト吉など、冷凍うどんが手軽でおいしいので活躍します(みやさん)
愛媛のいもたきは当サイトでは既報であるが、途中から参加してくださった同人も多いようなので紹介した。東北の芋煮会に匹敵する愛媛の野外行事。北海道のジンギスカンとはまた違って意味で面白い。
鍋焼きうどんの具として上にのせられ、熱によってほんのり白みがかった、半熟状態でとろっとした感じになった「はらこ」も生に負けず劣らず、たまらなくおいしいです(盛岡離れて早22年のY.Oさん)
はらこ鍋焼きうどん! たまらんのー。
イノシシ肉なんてその時まで食べたことがなく、真っ赤なお肉をおそるおそる日本酒で流し込んだ記憶があります。なぜボタン鍋かと言うと、「ボタン鍋コンパセット」とか言って、すごく安く泊まれたからだと思います。確か散弾銃の弾がお肉から出てきて大騒ぎをしたような記憶が…。でも味は覚えていません。
その時代の芦屋川の川辺には冬場や春にはよく「うりぼう」と呼ばれる赤ちゃん連れのイノシシの親子が出現し、ときには高級住宅地の街中でごみをあさっている姿もみました(きんさん)
関西では昔からぼたん鍋をよく食べる。私の初ぼたんも関西。上方落語に「池田の猪(しし)買い」というのがある。
赤い肉をぼたんの花のように皿に敷くことからぼたん。鹿肉だともみじ。鶏肉料理でもみじというとニワトリの足なので注意が必要。
うどんを打ったら、ゆでずに、あらかじめ用意した大鍋の汁に入れて直接煮込んでしまうのが「おっきりこみ」の最大の特徴です。汁はしょうゆ味で、野菜やきのこ、油揚げなどの具が盛大に入っています。もともとは澄まし汁ですが、生のうどんを投入して煮ると、打ち粉や何かでポタージュのようになり、完成時には澄ましの片鱗もありません。
残ったものを翌日温めなおして食べることを「おっきりこみのたてっかえし」と言います。お風呂の沸かし直し(前日のお湯を翌日にも使って沸かすこと)を指す言葉が「たてっかえし」ですが、一夜明けたうどんは前日以上に濃度・粘度が増し、もうとろっとろです。これが特に好き!という人もいますね(日野みどりさん)
たてっかえして熟成させて? お風呂が熟成されてとろっとろになったのはイヤ。
(特任編集委員 野瀬泰申)
[本稿は2000年11月から2010年3月まで掲載した「食べ物 新日本奇行」を基にしています]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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