コシノジュンコ、「一卵性母娘」ブルゾンを支えた言葉編集委員 小林明

「CGアニメ映画『Mr. インクレディブル』(ディズニー配給・ピクサー製作)にファッションデザイナー(エドナ・モード)が登場するんですが、なんだか髪形や雰囲気が自分によく似ているので『私みたいね』なんて思ったことがあります。ロンドンにいる妹のミチコも『あのキャラクター、もしかしたらお姉ちゃんをイメージしたのかもよ』と言ってました(実際は『ローマの休日』などを担当した米国の映画衣装デザイナー、イーディス・ヘッドがモデルとされる)。国際的に見ても『いかにもファッションデザイナーらしい格好』というものがあるのかもしれませんね。ただ、このスタイルを続けていると、どうしても年齢不詳になります。自分の写真をあとで見ても、いつ撮った写真なのか自分でもまったく分からなくなりますから」

自分から心に壁を作るのはもったいない

――お笑いトリオ、ロバートの秋山竜次さんも架空のクリエーターになりきるギャグシリーズでコシノさんによく似たキャラクターを演じていますね。

ブルゾンちえみさんの「キャリアウーマン」のパロディー用衣装に着替えてポーズ(東京・南青山の自宅で)

「あれは絶対に私を意識していますよね。秋山さん自身からはいままで何のコンタクトもありませんが、今春、ある会合で秋山さんの弟さんに偶然にお会いしたとき、『初めまして、ロバートの秋山の弟です。いつも兄がコシノさんのまねをしていて大変お世話になっています』と挨拶してくれました。私、いろいろな方からものまねされても全然、抵抗はありません。遊びの感覚が大好きだし、ありがたいことだと思っています。振り返れば、タイガースやスパイダースなどの衣装デザインを手がけたのも、篠山紀信さん、宇野亜喜良さん、寺山修司さんら文化人と親しくなったのも、ダイアナ・ロスら海外のスーパースターと知り合えたのも、すべて人との何気ない出会いがきっかけでした。時代の波に乗れたのはこうして人脈を広げてきたおかげだと痛感しています」

――ブルゾンさんのように才能を秘めた若者たちに送るメッセージはありますか。

「自分から心の壁を決して築くなということですね。人間は知らず知らずのうちに、未知の世界や人に対して見えない壁を築き、居心地の良い自分の世界にこもりがちになるもの。でも重要なのは、そんな壁をぶち壊して、いかに目を外に向け、積極的に足を踏み出すか。ブルゾンさんも、思い切って行動する勇気や努力を積み重ねたからチャンスをつかんだように、様々な人に出会ってこそ初めて自分の運命も開けてゆく。自分から心に壁を作るなんて、すごくもったいないことだと思います。自分の才能や運命を切り開くためにも、どんどん挑戦を続けて欲しいですね」

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