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せっせと預貯金する人へ 投資との差はあまりに大きい 「投資したいけどお金がない」人たちへ(上)

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2017/12/11

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さわかみあつと 1973年ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。ピクテ・ジャパン代表取締役を務めた後、96年あえてサラリーマン世帯を顧客対象とする、さわかみ投資顧問(現さわかみ投信)を設立(撮影:大沼正彦)

若い人たちの間で、「投資しようと思うけどお金がない」という声をよく聞く。あるいは、「生活していくだけでギリギリ。投資に回す余裕はない」と言う人も多い。

実はどちらも、本当はそれほど投資する気がない人たちに共通の日常会話である。お金がないのを理由に、投資から逃げているのだ。

その横でかなり頑張って毎月の生活費を浮かせては、せっせと預貯金に回している人たちは結構いる。といっても、彼らは銀行預金や郵便貯金しか眼中になく、そもそも投資なんて考えようとしない。

こう書いてくると、若い世代の間では投資運用ニーズはそれほど高くないのかも、そう思いたくもなる。本気で投資しようとする意欲など、そもそもない。ただ格好をつけて「お金がない」と言っているだけかもしれない。

まあ、そのあたりは、どうでもいい。ただ、ああだこうだ言って投資から目をそらしていられるのも、今のうちだけなのは間違いない。「5年先はやばいよ」と警告を発したくなるような、大きな地殻変動が静かに進んでいるのだ。

「投資などしなくても」と高をくくっていると、そのうち大慌てのパニック状態に叩き落とされることになる。今回は、そのあたりを若い読者の皆さんにお届けしよう。

■投資する人との差に慌て出す

今はまだ、「投資など興味がない。そんなギャンブルをしなくても」と言っている人たちが圧倒的多数である。彼らからすると、大事な虎の子は「預貯金で安全確実に」が一番ということなんだろう。

そう言っていられるのも、あと3年とか4年のこと。5年もしないうちに、投資していた人々との歴然たる差に大慌てとなるんじゃないかな。

まだ日本全体で見ると少数かもしれないが、既に長期投資を始めている若い人たちは結構な数に上る。その人たちの財産づくりが、これから目に見えて加速しだすのだ。長期投資で最大の武器である複利の雪だるま効果が表面化すると、資産は見る見る膨れ上がっていく。

それを見て、マスメディアは「長期投資はすごいよ」といった特集を組んで、これでもかと報道するようになる。当然のことながら、預貯金にこだわっていた人々とは大きな差がついてしまったことを、嫌というほど書き立ててくれる。

そこで、初めて預貯金がどれほど無力かのうんざり感が、日本中でパッと広がる。大きなショックとともに。

それはそうだろう。預貯金に預けておいたところで、現行の年0.01%といった低利子では、お話にならない。ともかく、下の図を見てもらおうか。100万円を預けておいても、5年後に元利合計は100万500円になるだけ。たったの500円しかふえないのだ。

ちなみに「さわかみファンド」の18年余の実績である年5.1%で計算すると、100万円が128万2370円になり28万円も増えている勘定だ。もちろん、投資運用の世界だから将来も年5.1%で回るという約束はできないが。

注:「さわかみファンド」の複利は18年間の実績、将来もこの数字とは限らない

それにしても、500円と28万円の差は大きい。その実績差をマスメディアがこれでもかと報道するだろう。何しろ個人の運用ニーズはどんどん高まっており、運用成績の差は格好のテーマとなるのだから。「預貯金でいいや」と言っていた人たちにとっては、見るのもうんざりするほどの現実を突き付けられることになる。

さらに大きいのは、複利の雪だるま効果が一層効いてくることだ。ちなみに、先ほどの5年後の28万円は複利効果で、10年後に64万円へと加速的に増えていく。

そう、5年もすれば、預貯金から長期投資への資金シフトは、いや応なしの現実となっていよう。

確かに最近は、給料も上がらないしボーナスも減ったりで、生活に余裕がなくなっている人が日本全体ではすごい勢いで増加している。とてもではないが、投資に回すお金など余りっこない。そう文句の一つも言いたくもなる。

だからといって、将来に向けた準備が何もできないというのも、つらいものがある。とりわけ、若い人たちにとっては年金不安も高まる一途だし、少し無理をしてでも財産づくりを進めておきたい。

(日経マネー 川路洋助)

[日経マネー2017年12月号の記事を再構成]

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著者 :日経マネー編集部
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