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薬局で異なる薬代 明細書で「調剤基本料」を調べよう ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢

2017/10/27

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 病院で受け取った処方箋をどこの薬局に持っていくかで薬代が違うことがあります。同じ処方箋で同じ薬を同じ量だけ出してもらうのに、どうして価格が違うのでしょうか。明細書をしっかりチェックしてみましょう。

■薬局の規模などで調剤基本料が違う

 薬の代金を支払うと、領収書と一緒に「調剤明細書」を受け取ります。これをよく読めば、薬代の節約のヒントが見つかります。調剤明細書には「調剤技術料」の項目があり、中でも特にチェックしたいのが「調剤基本料」の欄です。調剤基本料とは薬剤師が薬局で処方箋に基づいて調剤することに対する報酬です。この調剤基本料が薬局によって異なるのです。

 病院の正面などにある「門前薬局」だと25点、チェーン展開しているような大規模薬局だと20点、町の薬局だと41点などと調剤報酬の点数が異なります。さらに、薬の種類が1200品目以上などと充実していて、24時間体制などが整備されているサービスが手厚い薬局では32点が加算がされていたり、ジェネリック薬品の調剤に積極的な薬局では18点などの加算もあります。これらが積み重なり、調剤基本料が73点や95点になっていることもあります。

 この点数は1点を10円として計算し、その他の費目と合計して金額を算出します。現役世代だとその3割、75歳以上の後期高齢者で現役並みの所得者以外は同1割などが自己負担額になるわけですが、3割負担の場合、調剤技術料は例えば一般的な町の薬局で123円(41点)、手厚いサービスが受けられる薬局で285円(95点)などの違いが生まれます。1回あたりだと162円の差ですが、隔週に1度といったように定期的に薬を処方してもらっている場合、年間で4000円程度の差が生まれることもあります。

 いずれにせよ、調剤明細書を見て調剤基本料が70点を超えている場合、薬局を変えてみるのも一案です。薬局を変えることで処方された薬がない場合は、取り寄せなどで対応することも可能です。

 しかし、そもそもなぜこのような差が生じるのでしょうか。医薬分業を進めて薬局の機能を強化しようという厚生労働省は、2016年4月の診療報酬改定の際、例えば門前薬局については「立地に依存し服薬管理が不十分」と指摘し、調剤基本料を大幅に引き下げました。この改定は該当する門前薬局には打撃でしたが、一方で患者にとっては窓口負担が減るという状況も生まれています。

■「かかりつけ薬剤師制度」がスタート

 こうした流れを受け、16年4月にはもう一つ注目すべき改定がありました。それは「かかりつけ薬剤師」という制度です。自分が信頼する薬剤師を指名し、24時間対応してもらったり、複数の病院で処方された薬を一元管理してもらったうえで相談できたりする制度です。以前もらった薬が残っている場合、次回の処方を減らすよう医師に連絡してくれたりします。

 かかりつけ薬剤師を指定する場合、「かかりつけ薬剤師指導料」が70点加算されます。この場合、お薬手帳の持参の有無で変わる「薬剤服用歴管理指導料」(後で詳述)の50点や38点はかかりません。かかりつけ薬剤師を指定すると、3割負担の人は60~96円(指導料70点=210円、お薬手帳を持参しない場合の50点=150円、持参した場合の38点=114円の自己負担額の差)の差額で手厚いサポートが受けられると考えると、検討の余地がありそうです。もちろん上記のような管理が自分でできる人にとっては、必ずしも指名しなければならないわけではありません。

■お薬手帳は持参したほうがお得

 そのお薬手帳についても16年4月から原則、薬局に持参するほうが薬代は安くなりました。薬局は患者に薬を出す際、どのような薬が処方されたかを記録し、服用方法などを指導する費用として上述の薬剤服用歴管理指導料という報酬を受け取ります。この料金は初回は原則、500円(50点)になりますが、6カ月以内に再訪し、お薬手帳を持参した場合、380円(38点)になります。3割負担の場合、その差は36円です。

 差額はそれほど大きくないかもしれませんが、服用履歴をきちんと管理することができるうえ、費用もお得ということであれば、持参しない手はありません。お薬手帳はスマートフォンのアプリでも出ているため、かさばらず持ち歩くこともできます。

 ちなみに、6カ月以内の再訪でお薬手帳を持参しても、38点ではなく50点になることもあります。私もつい先日、チェーン展開している大手薬局に1カ月以内に再訪し、お薬手帳のアプリを提示して薬を受け取ったのですが、薬剤服用歴管理指導料が50点になっていました。薬局の従業員に尋ねたところ、大手チェーンの薬局で調剤基本料が20点と安い場合、お薬手帳を持参しても38点にはならないそうです。後から自分でも調べてみましたが、これは25点の場合も同様だそうです。

 このようにお薬手帳を持参しても点数が変わらず、費用が安くならないことはありますが、薬の服用履歴を残すことは安全性の観点でも大切なので、できるだけ記録したいものです。被災した際、お薬手帳に記録があった人はスムーズにお薬が受け取れるなど、対応に違いもあったそうです。

■自分との「相性」で薬局を比較検討

 年齢が若く、いつも決まった1種類の薬だけをもらっている人は調剤基本料が低い薬局をお薬手帳持参で利用するほうが費用は安く抑えられるでしょう。逆に高齢で複数の病院で色々な薬を処方されている人は、かかりつけ薬剤師制度を検討するのも一案です。費用の差で得られるサービスと自身との「相性」で薬局を比較検討できると有利でしょう。

(注)点数を円換算する際、3割負担の場合は「点数×3円」として例示していますが、実際の計算では各費目の点数を合計し、1点=10円で計算した合計金額から自己負担を出します。そのため、費目単体の「点数×3円」とは金額が異なることがあります。

風呂内亜矢
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士。26歳でマンションを購入したことをきっかけにお金の勉強を始める。2013年ファイナンシャルプランナーとして独立。著書に『その節約はキケンです-お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか-』(祥伝社)、『図解でわかる! 投資信託』(秀和システム)などがある。管理栄養士の資格も持つ。http://www.furouchi.com/

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