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「極薄名刺入れ」 金属加工の職人技で開発

2017/11/14

「KEEP SMART」。挟んでおける名刺は基本的に3枚まで。名刺と名刺の間に厚さ0.1mmの仕切り鋼板があり、圧着によるインク移りを防止
日経トレンディ

 ビジネスで初対面の相手を前に、名刺切れして気まずい思いをした経験は、誰しも一度や二度あるのではないだろうか。財布に入れておいた予備の名刺も、折れたり、汚れてしまい、結局使い物にならない。そんな緊急事態のお助けグッズが、厚さ僅か0.2mmのステンレス鋼板を使った極薄名刺入れ「KEEP SMART」だ。名刺を入れて財布にしのばせれば、いざというときの「保険」になって安心。刃物の名産地である岐阜県関市で、金属プレス加工業を営むツカダが開発した。

 使い方はシンプルで、二つ折りになった鋼板の間に名刺を3枚挟み込むだけ。名刺の間に厚さ0.1mmの金属製の仕切り板を差し込むことで、インク移りを防ぐ配慮も施す。名刺と仕切り板を入れても厚さはクレジットカード2枚分以下で、財布内で邪魔にならない。何より硬い鋼板が名刺をしっかりガードし、汚れることはない。2017年8月下旬にMakuakeでプロジェクトを開始すると、僅か3日で200万円を集め、支援者からは「こんな名刺入れが欲しかった」などの声が多く寄せられた。

財布内のポケットや札入れに収納可能。クレジットカード2枚分の厚さで、かさばらない

 この製品の肝が、極薄の鋼板をプレス加工する技術だ。基本的にはクッキーを型で抜くのと同じように、鋼板を金型とプレス機で打ち抜く。だが、薄くなるほど高度な技術を要し、0.2mm以下のプレス加工ができる工場は世界でも少ない。その点、70年創業のツカダは鋼板の極薄加工が得意。「先代で創業者の亡父は、“よそでやれないことをやる”がモットーだった。そのおかげで蓄積された職人技が生かされている」と、2代目の塚田浩生社長は話す。

製品は大型のプレス機を使って生産
a第1弾の自社開発製品「キークエスト」は、1万3000個も売れるヒット商品に

 ツカダは16年、栓抜きや糸切り、宅配物の開梱に使える鍵形の便利ツール「キークエスト」を開発。Makuakeで約764万円を集めた実績を持つ。地元の刃物メーカーなどの下請け工場から脱却し、仲間の中小工場にも仕事を発注して関市を盛り上げたい─。そんな思いで始めたのが、自社製品の開発だった。地方に眠る高い技術が、アイデアと情熱次第で光り輝く好例だ。

(文 高橋学、写真 川柳まさ裕)

[日経トレンディ2017年11月号の記事を再構成]

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