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「年金術」で増やす老後資金 勤めてなくても活路あり 自営業、自力で2階建てに 税制優遇厚く

2017/10/28

 もうひとつ「勤め先に財形年金の制度があれば選択肢になる」(八ツ井氏)。毎月の給与などから一定額を天引きする積立貯蓄で財形住宅と合わせ550万円までの利子が非課税。60歳以降に年金形式(5年以上)で受け取る。

 定年を迎えてすぐに仕事を辞める会社員は今や少数派。60歳以降も働き続ける人が多数を占める。年金を増やすという観点からすれば、引き続き厚生年金の被保険者になって働くのが有利だろう。

■シニアにも加入余地

 厚生年金の加入は最長で70歳まで可能だ。期間が長ければ、その分退職後に受け取る年金額は増える。ただ、基礎年金部分は60歳で終わるので、それまでと同じ収入で働いても年金の増え方は緩やかになる。

 従業員501人以上の企業では、昨年10月に厚生年金の適用条件が週20時間以上勤務、賃金月額8.8万円以上などに引き下げられた。60歳からはマイペースで働きたいというシニア世代にも加入の余地が広がったといえる。

 厚生年金に入れば、仮に60歳未満で第3号被保険者の配偶者がいるなら、引き続きその分の保険料負担は生じない(働く本人が65歳になるまで)。その会社の健康保険にも自動的に加入することになるので、健康保険や介護保険の保険料についても会社が原則半分を支払ってくれるという利点もある。

■老後の安心は知ることから

 『マンガ 自営業の老後』筆者 上田惣子氏

「マンガ 自営業の老後」の上田惣子氏

 『マンガ 自営業の老後』は4月に発売されてから11刷を数え、部数は5万近くに達しました。フリーランスなどの自営業者は老後のお金について考えるのが「怖い」という人が多い。私も神社で「75歳までに死にますように」などと祈っていました。老後のお金の本は退職金や厚生年金をもらう会社員向けがほとんど。退職金ゼロ、年金は少額という自営業者の本は少なく、そんな人たちが手に取ってくれたのかもしれません。

 本を書くのに自分をさらけ出すのは抵抗がありました。特に年金の未納を告白するのは勇気がいりました。国民の義務を果たしていないとの後ろめたさがあったからです。

 どうせもらえないとあきらめていましたが、年金専門家の田中章二さんに会って国民年金の受給資格が25年から10年に短縮されると知りました。「すぐに払いなさい」と言われ、未納の保険料を5年分後納しました。今後、任意加入して65歳まで保険料を払い続けられれば、18年分の国民年金を受け取れることになります。

 年金の上乗せにも取り組みました。フリーランスは収入が不安定な面があるので、掛け金を変更しやすいものを優先しました。ちなみに小規模企業共済は上限いっぱい。投資は未経験だったのでイデコには不安がありましたが、専門家のアドバイスで投資信託を主体に月3万円払うことにしました。

 これとは別に付加年金も申し込みました。毎月の国民年金保険料に追加する額が400円なら負担は小さく、年をとってもできると思ったからです。

 年金を実際に受け取るのはまだ先ですが、現時点では通常の65歳からもらうつもりです。できるだけ長く働いて収入を得ることを目標に、日々の仕事をとにかく一生懸命やっています。「老後」とはいえ、現在と地続きなわけですから。

 今回、読者からの反響で感じたのは金融知識の格差です。本ではお金の初歩的な知識を取り上げましたが、「全部知っている」という人と「初めて知った」という人に二分されました。私のまわりでは小規模企業共済や国民年金基金について、制度そのものを知らない人も多かったです。

 金融知識はあるのとないのとでは大違い。知識を身につければ手を打って、老後のお金の不安を和らげられると思います。

(マネー報道部 土井誠司)

[日経ヴェリタス2017年10月22日付]

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