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「年金術」で増やす老後資金 勤めてなくても活路あり 自営業、自力で2階建てに 税制優遇厚く

2017/10/28

 少子高齢化で明るい展望が描きづらい公的年金だが、ゆとりある老後のためには受取額を少しでも増やしておきたいところ。制度を知れば金額を増やしたり、有利に受け取ったりする仕組みがある。自営業者と会社員、それぞれの「年金術」を調べた。

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 「収入不安定、退職金なし、年金はすずめの涙」。ないない尽くしのイラストレーター・上田惣子氏が描いた『マンガ 自営業の老後』(文響社)という本がヒットしている。老後に経済的な不安を感じた著者が専門家に教えを請い、実践するストーリー。未納だった国民年金保険料を払い、自身の年金に2階部分を上乗せするなど次々と手を打っていく……。

■少額上乗せでおトクな例も

 「言うまでもなく自営業者の国民年金は1階建てで少ない」と、社会保険労務士の田中章二氏は本の中でこう指摘する。一般に2階建てといわれる日本の公的年金制度は20歳以上のすべての人が加入する国民年金(基礎年金)の上に、主に会社員を対象にした厚生年金保険が乗るという構図だ。

 ずっと自営業だった人が老後にもらうのは国民年金だけで、厚生労働省が例示する年金額は月6万4941円(2017年度)。厳しい年金財政を映して減少傾向をたどっている。ただ、これは20歳から40年間(480月)きちんと保険料を払った満額の場合。実際にもらった人の平均額は月5万円台だ。これだけでは老後の生活費は賄えないだろう。実はこうした人が受取額を増やす仕組みがいくつかある。

 まずは「保険料の納付済み期間を満額に近づけること」(田中氏)。未納期間がある人は「後納」制度を利用したい。読んで字の通り、納めていない保険料を後から払う制度。18年9月までは5年以内の未納分を払うことができる。1カ月分払えば将来の年金額は年1624円増える。

 もうひとつが「追納」だ。後納と似ているが、こちらは免除や納付猶予の期間がある人向け。さかのぼれるのは10年以内。後納と同じく、当時の保険料を基準に原則古い順に払い、3年以上前の分には加算金が付く。大学生の頃などに「学生納付特例」を利用して保険料の支払い猶予を受けた人は、追納しないとその部分は年金額に全く反映されないので要注意だ。

 シニア向けには「任意加入」制度がある。60歳になっても納付済み期間が40年に満たない人が対象で、65歳になるまでの5年間、保険料を納めて年金額を増やすことができる。

 こうした満額に近づける手段とは別に、国民年金には「付加年金」というちょっとお得な制度もある。毎月の保険料に400円の付加保険料を上乗せして納めると、納めた月数に200円を掛けた金額が増えるというもの。仮に任意加入の5年間、付加保険料を上乗せするとその分の負担は2万4000円。これで65歳からもらう年金額が年1万2000円増えるわけだから、単純計算では2年で元が取れることになる。

 覚えておきたいのは「年金は自分で請求しないと適用を受けられない申請主義が基本」(社会保険労務士の望月厚子氏)ということ。これらの制度を利用するには市区町村や年金事務所など所定の窓口で申請する必要がある。これまでの年金記録や将来の見込み額をねんきん定期便やねんきんネットなどで確認してから対応したい。

 さて「平屋」の年金しかない自営業者だが、自力で2階部分をつくる制度がある。それが「小規模企業共済」「国民年金基金」「個人型確定拠出年金(DC)『iDeCo(イデコ)』」の3つだ。いずれも加入は任意で自分で決めた掛け金を毎月払って将来まとまった金額を受け取る。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏は「国が後押ししているので、そろって掛け金や受取金などに手厚い税制優遇を備える」と特徴を説明する。

■計画か利回りか 判断の材料に

 小規模企業共済は個人でも開業していれば加入できる。加入者数は約133万人で、掛け金の平均は月約4万円(16年度)。「退職や廃業時に受け取る小規模事業者の退職金という位置付けが多いが、65歳以上で15年以上納付があれば老齢給付として請求できるので年金代わりにもなる」と制度を運営する中小企業基盤整備機構は説明する。3つの中では掛け金の上限が月7万円と高く、金額は適宜変更可能だ。掛け金に応じて貸し付けを受けることもできる。

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