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有料老人ホーム 「想定外の高さ」で慌てないために 入居前に追加負担を確認、重要事項説明書も

2017/10/29

 終の棲家(すみか)の一つである有料老人ホーム。入居時一時金をなくしたり低額にしたりする施設が増え、以前に比べ入居のハードルは下がった。しかし、入居後に想定外の費用が発生して戸惑う人が少なくない。家計に支障をきたさないよう、入居前に追加負担となる項目を確認し、費用の上限をイメージしておくことが大切だ。

■想定を10万円超過

 「事前に聞いた金額より10万円近く上回ってしまった。今後のことを考えると不安」と話すのは東京都の会社員Aさん(57)。春先に90歳になる母親を介護付き有料老人ホームに入居させたが、7月と8月の請求金額が月32万~33万円に達した。

 入居時の事業者の説明によると、月額費用は家賃、食費、身辺介助などの介護サービス費で約23万円。それ以外に要介護度2の母親の介護保険の1割負担額約2万円、施設のレクリエーションの実費などがかかるが、Aさんは「多い月でも28万円以内には納まるだろう」とみていた。

 見込み違いが起きた原因は介護サービス費。Aさんの想定よりも大きく変動した。

 洗濯やベッドのシーツ交換などは一定の回数を超えると追加負担が発生する。母親は施設に入居後は自力で歩く時間が少なくなり、足腰が弱って夜中にトイレが間に合わないことが増えた。少し高価な紙おむつを使うようになったが、紙おむつ代は自己負担。シーツ交換は週2回を超えた分が追加負担になった。

 通院や買い物代行も有料だ。病院の送迎は無料だったが、待合室や診察への立ち会いなどの「院内介助」は時間当たりで計算され、待ち時間が増えるほど費用がかさんだ。買い物代行は1回1000円。母親は和菓子が好きでよく職員に買い物を頼んでいたらしい。Aさんは母親に面会に行くときは菓子を持参し、職員に託すようにした。

 追加費用に慌てないためにはどうしたらいいか。介護施設に詳しいファイナンシャルプランナー(FP)の岡本典子氏は「事前に施設の重要事項説明書をよく読んでおくことが大切」と指摘する。

 入居する際には契約書に加え、施設概要や職員数の配置、利用料金などが記載された重要事項説明書、施設の管理規定などを受け取る。重要事項説明書には追加負担となる介護サービスの具体例が記されており、これをよく見れば追加費用の上限を大まかにイメージできる。

■予備費の準備を

 岡本氏は「資料請求時や施設見学時など、入居を決める前に重要事項説明書も求めたい」と助言する。「速やかに応じる事業者からは『施設を十分に理解してほしい』という姿勢が伝わってくる」。重要事項説明書には専門用語や難しい記述もある。質問に丁寧に分かりやすく答えてくれるかどうかも、施設を選ぶときの判断材料の一つになる。

 事業者から重要事項説明書がもらえないときは、自治体の担当部局のウェブサイトを見るといい。東京都や横浜市などは届け出のある施設の重要事項説明書を閲覧できるようにしている。

 自立の時期から入居するなど、長く施設で暮らすという人は、想定外の費用に備えてある程度の予備費を用意しておきたい。岡本氏は「長期間入居する人なら500万円程度が目安」と話す。予備費の額は年齢や要介護度などによって変わるため、介護に詳しいFPなどの専門家に相談するのがいいだろう。

(川鍋直彦)

[日本経済新聞朝刊2017年10月21日付]

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