ヘルスUP

日経Gooday 30+

元アメフト選手の9割で脳疾患 接触型スポーツで事例

日経Gooday

2017/10/29

アメフトに限らず、軽い頭部外傷を繰り返すスポーツでは慢性外傷性脳症を起こしやすい(C)Richard Kane-123rf
日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 引退したアメリカンフットボール選手から死後に提供された脳標本を分析したところ、およそ9割に「慢性外傷性脳症(CTE)」と呼ばれる病変が認められたことが、米国の研究で明らかになりました。

【慢性外傷性脳症(Chronic Traumatic Encephalopathy; CTE)とは】
 ボクシングやアメリカンフットボールなどの激しいコンタクトスポーツにおいて、脳振盪(のうしんとう)などの軽度の頭部外傷を繰り返し受けた人が発症する進行性の疾患。数カ月から数年以上の期間を経て、精神症状(抑うつ、攻撃性、自殺企図など)や認知機能の低下、パーキンソン病に似た症状などが出現する。CT検査などでは見つからず、死後の病理解剖でしか正確な診断ができない。

 アメリカンフットボールのように、プレーヤー間の接触が多いスポーツは、長期的な神経障害、特に慢性外傷性脳症のリスクを上昇させる可能性があると考えられてきました。

 頭部に外から加えられた衝撃によって、頭皮や頭骨、脳などに損傷が起こる頭部外傷(脳振盪を含む)を繰り返すと、慢性外傷性脳症を発症する危険性が高まります。いったん発症すると、慢性外傷性脳症は徐々に進行して、神経障害や認知症などの症状をもたらします。

 米国では2008年に、コンタクトスポーツや、軍人としての任務の中で繰り返される頭部外傷が健康に及ぼす長期的な影響を調べるために、退役軍人医療システムやボストン大学などの協力の下、脳バンクが設立されました。慢性外傷性脳症を発症するリスクが高い生活を送っていた人々から、死後に脳の標本の提供を受け、研究することが目的です。

 今回ボストン大学医学部のJesse Mez氏らが報告したのは、死後に脳の標本を提供した元アメリカンフットボール選手202人に関する分析の結果です。死亡時の年齢の中央値は66歳で、フットボールをプレーしていた期間の平均は15.1年でした。それらの選手一人ひとりについて、近しい親族を対象に、運動選手としてのキャリアや、頭部外傷の経験、死亡するまでに見られた症状に関する聞き取り調査を行いました。

■レベルの高い選手ほど高率に慢性外傷性脳症と診断

 202人中177人(87%)が、脳の変化の特徴に基づいて慢性外傷性脳症と診断されました。その割合は、レベルの高い選手ほど高くなっていました(表1)。

 生前に認められた症状に基づいて、慢性外傷性脳症患者を軽症(44人)と重症(133人)に分けると、軽症患者の死亡時の年齢の中央値は44歳で、プレー期間の平均は13年、死因として最も多かったのは自殺(12人、27%)でした。

 一方、重症患者の死亡時の年齢の中央値は71歳で、プレー期間の平均は15.8年でした。主な死因は神経変性疾患(認知症、パーキンソン病など)で、62人(47%)でした。

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL