重力波、中性子星の衝突で初観測 貴金属の起源に迫る

日経ナショナル ジオグラフィック社

2017/10/30
ナショナルジオグラフィック日本版

2つの中性子星同士が衝突して「キロノバ」と呼ばれる爆発を起こした瞬間の想像図。天文学者らは2017年10月16日、非常に激しくかつ可視光で観測できるこうした爆発によって引き起こされた「重力波」を初めて観測したと発表した。(ILLUSTRATION BY ROBIN DIENEL; COURTESY THE CARNEGIE INSTITUTION FOR SCIENCE)

ここ2カ月の間、地球の天文学者たちはすっかり興奮状態に陥っている。およそ1億3000万年前に、2つの死んだ星が衝突したことで引き起こされた一連の出来事のせいだ。

先日開かれた記者会見で科学者らは、2つの中性子星の衝突によって発生した重力波を初めて検出したと発表した。

アルベルト・アインシュタインが1916年にその存在を予言した重力波とは、宇宙で発生した非常に激しい出来事が原因で起こる、時空に生じるよじれやゆがみのことだ。これまでに観測された例はすべて2つのブラックホールが合体した際に起こったもので、この場合、その場には観測可能な痕跡は何も残らない。(参考記事:「重力波、世紀の発見をもたらした壮大な物語」)

しかし今回、約70カ所にのぼる天文台が、100基あまりの機器を用いて重力波の観測を行い、その発生源を詳細に調べることに初めて成功した。

「これは人類がこれまで一度も見たことのない、まったく新しい現象です」と米カリフォルニア大学サンタバーバラ校のアンディ・ハウエル氏は言う。

ブラックホールの合体とは異なり、中性子星の衝突からは放射線を帯びた金属性の破片が放出される。これは望遠鏡で観測可能だ。

最終的に約3500人が関わったこの大規模観測の成果は、「Science」や「Physical Review Letters」など複数の学術誌に発表されている。

今回の観測結果は、長年にわたり唱えられてきた物理学の仮説の証明や、金などの重元素の起源をめぐる議論の決着に寄与するだろう。

大発見の物語

重力波が存在するという証拠が初めて確認されたのは1974年のことだ。しかし実際に重力波を観測するまでには、それから数十年の時がかかった。なぜなら重力波が地球上で生じさせる時空のゆがみは、きわめて微小なものだからだ。

宇宙におけるこうした恐ろしく小さな動きを感知するために建設されたのが「LIGO(レーザー干渉計重力波天文台)」だ。LIGOに設置された2基の検出器は、レーザーを用いて、重力波が地球を通り抜ける際、一対の鏡の間の距離に生じるごくわずかな変化を感じ取る。現在は3基目の干渉計「VIRGO」が欧州でも稼働している。

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