防水など機能性が魅力 アウトドア名門の街着3選
特集 スポーツ&アウトドアをスマートに楽しむ最新アイテム 中編
著名なアウトドアブランドから、街で着ることを想定した、新しいアパレルラインが続々登場している。特徴は、タウンユースのカジュアルウエアとしてのファッション性を備えながら、アウトドアフィールドで培ったノウハウやテクノロジーを服作りに生かしていること。ファッション性と機能性を両立したアウトドアブランドのタウン向けウエアを紹介する。
野外フェスの浸透でアウトドアファッションが街へ
アウトドアブランドがなぜタウン向けアパレルを展開するのか。2016年9月に、登山やキャンプ向けウエアとは別ブランドの「コロンビア ブラックレーベル」を立ち上げた人気アウトドアブランド、コロンビアに話を聞いた。
「アウトドアで使用する防水ジャケットなどを街着にコーディネートすることは、最近では当たり前になってきています。そこで各メーカーが、タウンシーンになじむアイテムを提供するアパレルラインを広く展開するようになったのでしょう」(コロンビアスポーツウェアジャパン マーケティング部PR 内藤教之氏)
なぜアウトドアウエアを街着に生かす人が増えたのか。その理由の一つとして、内藤さんは野外の音楽フェス人気をあげる。
「野外の音楽フェスでは、過酷な環境に備えてアウトドアウエアを着用するのが当たり前です。フェスでアウトドアウエアを着用し、その快適性を知った方々が、街中でも自然と着用するようになったのだと思います」
コロンビア ブラックレーベルはデビュー時、メインに扱う店舗は原宿店のみだったが、現在は六本木、大阪や福岡にも出店している。ここからも注目度の高さがうかがえる。
「コロンビアはブランド誕生当初から、『家から一歩外に出たら、そこはアウトドアフィールドだ』という思いで製品作りを続けておりますので、ある意味自然な流れだと思っています」
今回は注目アパレルラインから3アイテムを紹介する。どれも街で着るのにふさわしいファッション性と、防水や収納力などの機能を併せ持っている。
コロンビア ブラックレーベル/ビジネスでも使える全天候型
コロンビアのタウンユース向けアパレルラインであるコロンビア ブラックレーベル。「コロンビア生誕の地・オレゴン州ポートランドの気風を受け継いだライフスタイルウエア」としてデビューした。
今回紹介するのは、独自開発の防水透湿素材「オムニテック」を採用した全天候型のジャケット。同社が作る通常のアウトドアウエアにも使われており、ポケットには止水ファスナーを用いるなど、ファッション性を備えながら雨天をものともしない機能的な作りが魅力だ。
また、ほかのアウトドアブランドのタウンウェアとの違いを強調するため、ストリート感のあるコーチジャケットのデザインを採用し、止水ファスナーポケットやフラップ付きポケットで使い勝手を向上。別売りの着脱式ダウンライナーを組み合わせることで、秋口から真冬まで幅広いシーズンで着用できるジャケットに仕上がっている。
アウトドアで培ったノウハウをディテールに取り入れることで実用性をアップ。デザインにおいてもモダンでありながら独自性を表現しているところが、コロンビア ブラックレーベルの特徴といえる。
「新たな顧客層はもちろん増えていますが、もともとのコロンビアファンが、新たな1着として購入されるケースも多いです。ビジネスシーンをはじめとした、いわゆる『きれいめ』なファッションとしての需要が多いように思います。仕事でも、さりげなく自分のライフスタイルを主張したいと考える方が、このようなアウトドアアパレルラインを取り入れているのではないでしょうか」(内藤氏)
バッハ・ガーメンツ/シワに強くポケッタブル
1979年にアイルランドのケルケニーで創業した、本格的な登山用アルパインバッグを中心に展開するBACH(バッハ)。新たなプロジェクトとして、「スマートに旅するトラベルウエア」をコンセプトに、アパレルライン『BACH Garments(バッハ・ガーメント)』を2017年春に立ち上げた。帝人フロンティアと協力し、「旅」をテーマにしたウエアを展開。現在は、人気セレクトショップのジャーナルスタンダードのみの限定リリースとなっている。
BACH Garmentsの代表作「コミューターコート(Commuter Coat)」は、メイン素材に軽量でシワになりにくいという特徴を持つ「PACKIT by SOLOTEX」を採用。さらにポケッタブル仕様で、持ち運びもしやすい。出張や旅行時にバッグに忍ばせておけば、シワがつきにくいため、すぐに着ることができる。はっ水加工が施されており、小雨をしのげるのもうれしい。
バッハブランド初のウエア、しかもジャーナルスタンダード全店で大きくディスプレイされたことから、店頭では完売が相次いだという。
「購入される方は20代後半~40代後半がメインです。はやりのスポーツMIXな着こなしをされる男性や、オーバーサイズで着用する女性のお客様もいらっしゃいます。軽くて持ち運びできる点、シルエットの美しさ、素材の耐久性やはっ水性、ノンストレスの着用感などが支持されています」(バーリオ営業 川村寛氏)
ザ・ノース・フェイス/収納力の高さで手ぶら街歩き
パソコン収納付きのスクエア型バックパック「シャトルシリーズ」など、他社に先駆けてタウンユース向けアイテムを展開してきたザ・ノース・フェイス。ウエアでも、アウトドアの機能性を日常シーンに落とし込んだアイテムを多数ラインアップしている。
デザインはトレッキングなどのアウトドアウエアと異なり、旅や都市型生活などタウンユースを目的とした仕様。街着として使いやすい色使いとシンプルなデザインが特徴だ。
今回紹介するジャケットは「Hangar=格納庫」という名を持ち、旅先や都市生活で必要なアイテムを収納できる多彩なポケットを搭載。両腰の大容量ポケットは縦と横のダブルアクセス、左胸と左袖に小物収納ポケットと、手ぶらでの街歩きを可能にしている。
素材はストレッチ性とはっ水性を備えたナチュラルな風合いのナイロンツイル。裏地には伸縮性と速乾性のあるメッシュ素材を採用し、さらに襟と袖口もポリエステル素材のリブ仕様のため乾きやすく、快適に過ごすことができる。
「タウンユース向けウエアは女性からも好評をいただいています。結果、女性のお客様も増えているようです」(ゴールドウイン ザ・ノース・フェイス プレス 鰐渕航氏)
前編 スポーツにも出張にも シューズ収納付きバッグ3選
中編 防水など機能性が魅力 アウトドア名門の街着3選
後編 GPSウオッチ、主流は心拍計測 ランも健康管理も
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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