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クーリングオフ 契約から8日以内、書面で解約通知 不動産売買や保険の契約も対象

NIKKEIプラス1

2017/10/29

行政はクーリングオフ制度の周知を進めている

言葉巧みな訪問業者に高価な布団を買わされたり、不用品の買い取りと称して宝飾品を買いたたかれたりする被害が続いている。「クーリングオフ」による契約解除の方法を知っておこう。

東京都の会社員Aさん(55)が最近、隣県で一人暮らしの母親(84)を訪ねると、台所に真新しい浄水器があった。母親いわく「訪問販売の人がうちの水道水に薬を入れて調べたら白く濁ったの。浄水器を付けたほうがいいんだって」。Aさんは「雑誌でみた悪質業者の手口そのものだ」とピンときたが、領収書も業者の名刺も残っておらず、手の打ちようがなかった。

この場合、3000円以上の取引で領収書があり、その日付から8日以内であればクーリングオフで契約を解除できたはずだ。クーリングオフは、いきなり自宅を訪ねてきて、その場で契約させようとする訪問業者などから消費者を守るルール。頭を「冷やして」よく考える期間を設定しているわけだ。

不用品の買い取りと称して指輪やネックレスなどの宝飾品を相場よりも安く買い取っていく「押し買い」もクーリングオフの対象になる。自宅訪問だけでなく、業者からかかってきた電話で契約してしまった場合も扱いは同じ。国民生活センターには、学習教材などをしつこく勧められたなどの相談が少なからず寄せられている。

このほか、長期にわたって高額の契約をすることが多いエステティックサロンや語学教室など6業種にはクーリングオフに加えて中途解約のルールもある。クーリングオフ期限が過ぎてからの中途解約でも、業者は未利用分に相当する金額の一定以上を返金しなくてはならない。

不動産売買や保険の契約は、業者の正式な事務所でないところで契約を結んだ場合にクーリングオフの対象になることがある。喫茶店で業者が売り主になっている投資用マンションを購入したり、期間1年以上の生命保険に加入したりした場合だ。

「お金が稼げる」と説明され、そのための商品を買った場合はクーリングオフの期限が20日以内と長い。自ら販売員になるための商品を仕入れさせる「マルチ商法」、十分な仕事があるように見せかけて、そのための道具を買わせる「内職商法」の被害を抑止するためだ。

クーリングオフに業者の了承は不要。業者あてに書面で解約の通知を出すだけでいい。最も確実なのは内容証明郵便だが、はがきでも代用できる。はがきの両面をコピーして手元に残したうえで、郵便局に出向いて発信日が記録される「特定記録郵便」か「簡易書留」で送ればいい。契約日から発信日までがクーリングオフの期限におさまっていれば、契約を解除できる。

文面は国民生活センターなどのサイトに具体的な記述例があるので参考にしたい。まず契約を解除する旨を書き、さらに販売業者の社名や担当者名、お金を払っていればその金額を明記する。

さらにクレジットカードで購入した場合、カード会社へも通知しないと代金が口座から引き落とされてお金の回収が難しくなることがあり得る。販売業者が指定した割賦契約の場合も、期限までにそのクレジット会社に通知しなければならない。

クーリングオフでは、原則として購入者に負担は生じない。商品は送料を着払いにして返送するか、業者に引き取りにきてもらう。ただし、健康食品や化粧品、洗剤など政令で指定された商品は、開封して使った分は返金されない。6個入りの梱包を開けて1つだけ使ったケースでは、残りの5個は返品できる。

インターネット通販にクーリングオフはないが、返品の可否とルールを表示する義務がある。返品不可の業者が少なくないほか、一般的に返品送料は購入者負担なので気をつけたい。

消費者保護の仕組みはクーリングオフに限らない。販売方法にかかわらず、業者がウソをついていた場合は消費者契約法で1年以内なら契約を取り消せる。「いかなる理由があっても契約後の返品はできません」といった取り決めも同法で無効とされる。訪問販売や店舗での日常生活の必要を著しく超える「過量販売」も取り消しの対象。消費者庁の消費者ホットライン(電話188)に電話すれば相談窓口を紹介してもらえる。

(川鍋直彦)

[NIKKEIプラス1 2017年10月21日付]

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