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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

利益出やすい「積み立て投資」 下げ相場で威力発揮

日経マネー

2017/11/16

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日経マネー

[親父の悩み]iDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(少額投資非課税制度)など、積み立て投資を促す制度が注目を集めている。子供からは「積み立て投資だったら損しないの?」と聞かれたが、どう答えればいいのだろうか。

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イラスト:ふじわらかずえ

 2017年からiDeCo(個人型確定拠出年金)の対象が公務員や主婦などの第3号被保険者にも広がり、加入者が急増しています。さらに18年からはつみたてNISA(少額投資非課税制度)も始まり、少額でも投資ができる制度が急速に整備されています。こうした制度は、若い人たちを中心とした資産形成層の強い味方になると期待されています。

■資産形成層の強い味方

 iDeCoとつみたてNISAは、非課税で投資ができるというだけでなく、「毎月定額で積み立てるという投資」を制度の前提にしていることも共通の特徴です。積み立て投資は、投資のタイミングを分散させることで、投資のリスクを軽減する代表的な方法として知られています。しかも、毎月の定額積立額を1万円とか、3万円といった少額で設定することで、若い人たち、特に所得や資産が少ない人でもイメージしやすい投資方法といえます。

 金融商品を一度に買うのではなく、一定額を決まったタイミングで分割して投資する方法を「ドルコスト平均法」といいます。積み立て投資の代表的なやり方ですが、ここには「投資コストの低減を図る」という効用があります。

 投資額を1万円とした時、株価が5000円の銘柄は2単位しか買えません。ですが、これが1カ月後に2500円まで下落すると4単位買えます。この場合の平均購入単価は3333円。仮に株価がこれを上回れば、当初の5000円に戻らなくてももうけが出ます。

 投資は「安い時に買って」高くなって売ればもうかりますが、そのタイミングをつかむのは至難の業です。「安い時に(多く)買う」というドルコスト平均法は、投資のもうけにつながりやすい方法なのです。

■もうけが大きい積み立て投資

 積み立て投資を使うことで、普通に一括で投資した場合よりも、もうけが大きくなる可能性もあります。

 下のグラフを見てください。これは10回に分けた定額の積み立て投資のイメージを示しています。(1)から(10)までのそれぞれの回の投資のもうけは、それぞれに投資をした時点の投資額と現在の評価額の差でみることができます。グラフ上の赤い線の合計の長さが、(1)から(10)までの投資のもうけの合計、つまりこの積み立て投資全体のもうけということになります。

 一方で、一括投資の場合は(1)の投資を10倍行ったと考えればいいわけです。言ってみれば、(1)の赤い線を10倍した長さが一括投資のもうけです。

 積み立て投資と一括投資のどちらがもうかっていたかは、(1)~(10)のもうけの合計が(1)のもうけの10倍より多いかどうかで分かります。グラフのイメージの場合、直感的に積み立て投資の方がもうかっていることが分かるでしょう。このもうけの源泉となっているのが、(3)の投資タイミング以降に株価が下がったことであるのも分かるかと思います。

■積み立て投資はコストも軽い

イラスト:ふじわらかずえ

  ところで先日、投資をそろそろ始めようと考えている女性から「一括投資と積み立て投資では手数料が違いますか? 何だか積み立て投資だと、投資の回数が多くなるのでその分、買う時の手数料が多くなるように思うのですが」と聞かれました。

 もし投資1回当たりの手数料が一定金額であれば、上のグラフで、(1)~(10)までの10回の投資をした場合には、(1)で1回の投資をした場合の10倍の手数料を払うことになりますから、これは大きなコスト増です。しかし、これは本当なのでしょうか。

 投資におけるコストには大きなものとして、投資家が投資をする時に証券会社や銀行に支払う販売手数料と、投資を継続している間に運用会社等に支払う信託報酬の2つがあります。厳密にはその他の手数料もかかりますが、大きなものはこの2つです。

 実は、販売手数料は投資する金額によって違います。投資金額に一定率をかけた金額に設定されていますから、投資総額が同じなら一括投資も積み立て投資も販売手数料は原則同じ額になります。投資の回数が多くても、コストは変わらないのです。

 また、信託報酬は投資残高に対する一定比率で計算されます。残高が少しずつ増えていく積み立て投資の方が、信託報酬の面ではコストが軽くなるのが分かります。

 ちなみに、つみたてNISAの対象商品は、販売手数料0円でかつ信託報酬が一定以下の商品が選ばれています。iDeCoでも販売手数料がなく、相対的にコストが軽い金融商品がラインアップされています。積み立て投資では、手数料の水準が低いものが見つけやすくなっているのです。

【こんなふうに伝えよう】

 積み立て投資は常にもうかるわけではありませんが、一括投資よりもその可能性は高いと考えられます。つみたてNISAやiDeCoを使えば手数料と税金の負担も軽減できます。少ない金額で、ゆっくり資産形成ができるのもメリットです。

イラスト:ふじわらかずえ
野尻哲史
 フィデリティ退職・投資教育研究所所長。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信入社、07年から現職。アンケート結果を基にした資産形成に関する著書や講演多数。

[日経マネー2017年12月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年12月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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