「長く続ければ投資はプラスに」 これ信じていい?

日経マネー

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株式投資ほどのリスクは取れないが、分散投資でリスクを下げつつ少しでも資産を殖やしたい。こんなニーズに応えた商品として、投資信託が人気を博している。ただ、一口に投信といっても中身は多種多様。自分に合った商品を見つけるには、どうすればいいのか。投信初心者の疑問をプロが分かりやすく解説する。

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Xさん(以下、X):米連邦準備理事会(FRB)が資産規模縮小を決定しましたね。吉井さんは今後の見通しについてどう考えていますか。

吉井崇裕(以下、吉):リーマン・ショック以降、長らく続いてきた金融市場への資金供給が一つの転換期を迎えますが、市場にどんな影響を与えるかは後になってみないと分からないというのが本音です。一つ言えることは、短期的には景気の浮き沈みがありますが、数十年の単位で見れば世界経済はずっと成長しているということ。それが続く限り、私たちの運用資産も成長していくのではないでしょうか。遠い将来のための資産運用であれば、日々のニュースにあまり惑わされる必要はないと思います。

X:吉井さんが投資信託で一番大切にしていることは何ですか。

吉:とにかく長く続けることです。経済成長の恩恵を安定的に享受するには様々な資産への分散投資が大切ではありますが、仮に分散しなくても、よほどおかしな商品でない限りは長く続けていればお金は増えていくものです。

X:でも、長く続ければ本当に良い結果が出るのか不安です。

リーマン経ても投信の9割はプラスに

吉:勇気づけられるデータを1つ紹介しましょう。2017年8月末時点で、10年以上の運用実績がある投信は国内に1547本ありますが、このうち10年間の成績がプラスの商品は何本だと思いますか。

X:10年前というとリーマン・ショックの直前ですよね。うーん……半分くらいですか?

吉:答えは、何と1404本。およそ9割の商品がプラスでした。

X:9割! それは驚きです。

吉:ただし、このデータには1つ落とし穴があります。ここで集計した運用成績は分配金を再投資した場合の結果です。もし分配金を受け取っていた場合、しかも高い分配金で元本を取り崩してしまった場合は、恐らくマイナスの商品がもっと多くなると思います。

X:毎月分配型投信にはもう引っ掛かりませんよ! ちなみに成績がマイナスだった投信は?

吉:天然資源に投資するテーマ型投信や、特定の新興国に集中投資するような投信です。

X:やはり、投資先を分散することも大事なのですね。

吉:それから、長く続けると言いましたが、これは市場に資金を投じ続けるという意味です。下グラフは日経平均株価に連動するインデックス型投信の過去25年(300カ月)間のリターン推移です。太い線は25年間投資を続けた場合で、バブル崩壊後の低迷期やリーマン・ショックを乗り越え、プラス24%の運用成果を得られました。細い線は300カ月のうち大きく値上がりした月の上位3回分に投資していなかった場合で、運用成果はマイナス16%になりました。これは例えば、荒っぽい値動きやニュースの悪影響を恐れて一旦売却してしまうようなケースです。

X:僅か3カ月投資しなかっただけで、40%の差が生まれるのですね。

吉:日々のニュースに惑わされて資金を動かしてしまうと、その間の数少ない上昇機会を逃し、それが後々に大きな差になってしまうのです。投信を購入したら、じっくりと資産成長を待つこと。それが最も大切なことだと思います。

吉井崇裕
イデア・ファンド・コンサルティング社長。ファンド・アナリストとして、国内約4000本の投資信託を常時分析する。モーニングスター、三菱アセットブレインズにてファンド・アナリスト、朝日ライフアセットマネジメントにて販売および運用関連業務に従事。現在はFP法人GAIAのセレクトファンドの選定に携わる。

[日経マネー2017年12月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年12月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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