福岡・糸島のだし巻き卵絶品 だしの甘味じわり
懐石料理「桜坂なかむら」
白と黒褐色を基調に落ち着いた雰囲気の懐石料理の店だ。旬の食材の味を、研究を重ねた自家製調味料で引き立てる。熊本・天草の魚や福岡・糸島のとれたて野菜など食材は中村佳世料理長が現地で買い付け、厨房できびきびと手を動かしながら「その季節に一番食べたいものを出したい」と表情を引き締める。
8000円のコースでまず登場した翡翠(ひすい)なすのゼリー寄せはみずみずしい食感が夏にうれしい。大ぶりのアワビもぜいたくだ。お造りの魚は漁港で生け締めする。天草の漁師に勧められたといううつぼは、湯引きしてぷりぷりに。全国から取り寄せる日本酒と一緒に楽しみたい。
人気の料理は糸島の新鮮な卵を焼く自慢のだし巻き卵。全国の料亭から訪れた女将たちもうなったそうだ。口に入れた瞬間にだしの甘みが伝わり、かんでいると卵の優しい味わいが広がってくる。
締めの鯛(たい)飯は、一度焼いた後に炊き込み香ばしさをとじ込める。新潟・佐渡島から取り寄せる無農薬米の一粒一粒に鯛の風味が染み込む。
店内には、客が目を向ける至る所にこだわりのインテリアが置いてある。季節の花を生ける花瓶は過去に美術展に展示されていたものも。
まだ残暑厳しいが「秋は子持ちあゆや、まつたけなどおいしい食材が多いので楽しみ」と中村料理長。実りの季節が待ち遠しい。
(荒牧寛人)
〈さくらざかなかむら〉福岡市中央区桜坂3の12の88 電話092・724・8028
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