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九州 味めぐり

福岡・糸島のだし巻き卵絶品 だしの甘味じわり 懐石料理「桜坂なかむら」

日本経済新聞西部夕刊

2017/11/7

 白と黒褐色を基調に落ち着いた雰囲気の懐石料理の店だ。旬の食材の味を、研究を重ねた自家製調味料で引き立てる。熊本・天草の魚や福岡・糸島のとれたて野菜など食材は中村佳世料理長が現地で買い付け、厨房できびきびと手を動かしながら「その季節に一番食べたいものを出したい」と表情を引き締める。

 8000円のコースでまず登場した翡翠(ひすい)なすのゼリー寄せはみずみずしい食感が夏にうれしい。大ぶりのアワビもぜいたくだ。お造りの魚は漁港で生け締めする。天草の漁師に勧められたといううつぼは、湯引きしてぷりぷりに。全国から取り寄せる日本酒と一緒に楽しみたい。

イラスト・広野司

 人気の料理は糸島の新鮮な卵を焼く自慢のだし巻き卵。全国の料亭から訪れた女将たちもうなったそうだ。口に入れた瞬間にだしの甘みが伝わり、かんでいると卵の優しい味わいが広がってくる。

 締めの鯛(たい)飯は、一度焼いた後に炊き込み香ばしさをとじ込める。新潟・佐渡島から取り寄せる無農薬米の一粒一粒に鯛の風味が染み込む。

 店内には、客が目を向ける至る所にこだわりのインテリアが置いてある。季節の花を生ける花瓶は過去に美術展に展示されていたものも。

 まだ残暑厳しいが「秋は子持ちあゆや、まつたけなどおいしい食材が多いので楽しみ」と中村料理長。実りの季節が待ち遠しい。

(荒牧寛人)

〈さくらざかなかむら〉福岡市中央区桜坂3の12の88 電話092・724・8028

食べ歩きが大好きな地元在住のライターや日経記者が見つけた九州・沖縄のとっておきの味を紹介します。

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