動き鈍いREITの物件取得 価格高騰で物件買えず

日経マネー

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2017年9月の東証REIT指数は、1648~1675ポイントと狭い範囲で推移した。ただし、17年になって初めて1700ポイントを上回ることなく月間の取引を終えたことからも分かるように、年初から続く下落基調が収まったわけではない。

価格同様、REITの物件取得も低調だ。17年度上半期(4~9月)の物件取得額は5585億円と、前年同期の9776億円から大幅に減少している。これは既存上場銘柄の物件取得(外部成長=物件取得による資産規模拡大)が大幅に減ったためだ。上半期の既存上場銘柄による物件取得額は、16年の7402億円から17年の3856億円へと、ほぼ半減した。

REITは保有資産の分散効果を高めるためにも外部成長を続ける必要がある。運用会社もREITの保有物件が増えれば運用報酬が増えるので、REITの外部成長は歓迎だ。

投資口価格が下げている時期に物件取得のための増資を行うと、1口当たりの分配金に悪影響を及ぼすこともあるが、足元では、そこまで下げている銘柄は少ない。

外部成長が低迷しているのは、REIT価格の低迷ではなく、不動産価格高騰の影響が大きい。

慎重姿勢は歓迎すべきこと

注:投資口価格は2017年9月1日時点

REITは不動産市場から直接物件を買うより、スポンサー企業が保有する優良物件を取得することが多い。ただし大半のREITでは、その際の取得価格上限を不動産鑑定評価額とする規約を設けている。不当な高値での買い入れを防ぐためだ。

不動産価格が高騰している現在、スポンサー企業は実勢価格より安い鑑定評価額で物件を傘下のREITに売却しても、うまみはない。実際、スポンサー企業が保有物件の一部を外部に売却する事例が増えている。

REIT側も、リーマン・ショックの時に鑑定評価額が急激に低下し、大半の銘柄が含み損を抱えたという苦い経験を持つ。不動産価格に過熱感がある時期に物件を取得すると、不動産市場が変調を来たしたら、軒並み含み損に転じるのではないか、今は物件取得には慎重であるべきではないか、と考えるのは当然だろう。

運用会社は、目先の利益(運用報酬)だけを考えるなら、高値だろうがREITの保有物件を増やすのが理にかなっている。投資家にとってもREITの物件取得が減ると、その分、分配金の伸びが抑制されるというデメリットもある。

しかし、このような運用会社の慎重姿勢は、将来の含み損リスクを回避するという意味で、長期目線の投資家にとっては歓迎すべきことだろう。

物流施設特化型やホテル特化型のように物件の収益環境が大幅に好転している銘柄を除き、ポートフォリオの拡大に走っている銘柄への投資は、短期的な投資と割り切る必要があるだろう。

関大介
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

日経マネー 2017年12月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
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