2017/10/31

リーダーのマネジメント論

「働きアリの理論というのがある。アリはみんな一生懸命働いているように見えるけど、実はその中の2割くらいは働いていない。そういう働かないアリを排除すれば、精鋭の集団になるかというとそうではなくて、結局、全体の2割くらいはやっぱり働かない。実はそういう働かないアリは、他のアリが疲れて動けなくなった時に、代わって働いてくれたりもする。だから集団の長期存続には不可欠な存在だと。我々人間も同じで、いろんなタイプの人間がいるほうが結局組織は機能する」

東大博士を採用していたが

――人材を採る時に重視するポイントはなんですか。

適材適所に人材を配置するのが経営の仕事だという

「もちろん適材適所に人を配置するのは経営サイドの仕事だが、やはり基本的には組織の中で自分のポジションをちゃんとつくれる人かどうか、ということ。何を基準に判断しているか、と言われると、勘ですとしか答えようがないが。一つ言えるのは、物事を否定的に捉えて、ノーから入ってくる人間はとらない。特に僕たちのような社員60人規模の小さな組織だと、どこかで不協和音を醸し出す人間がいるとアウトだ。ただそれを見分けるのも勘。僕は人生の半分以上は勘で生きてきたような人間なので」

「60人あまりの社員のうち、僕が面接したのは4分の1くらい。積極的に人を雇えるようになったのは、2013年に上場してから。起業した当初は、菅教授の研究室から毎年、数人入ってきていたが、学生本人が行きたいと言っても親に『東大で博士までとって、そんなどこの馬の骨かわからない会社に入るなんて』と泣かれて、入社を断念するケースが増え、ついにある時、新入社員がゼロになった。このままじゃまずいと思い、知名度を高め、いい人材を集めるためにも上場しようと決断した」

リーダーは毎年代わったっていい

――どういうリーダーを目指してこられたのでしょうか。

「リーダーというと、なんとなく人の上に立って引っ張っていく人間だと思われがちだが、人間はそれぞれ生きてきた年数や経験によって、持っているものも違う。それぞれが持っているものを尊重し、適材適所でやっていく。その中で、自然と先頭に立って音頭をとる人間が現れ、そういう人をみんなでバックアップしながら盛り上げる。それが一番理想の組織だと思う」

「だから役職とか職責で、やれリーダーだの上司だのいうのはナンセンス。僕自身、社長とか会長という肩書で呼ばれるとゾッとする。社内ではさん付けで呼ばれている。リーダーというのは、その時その時の会社の置かれた状況に最も適した人間がなるべきで、極論すれば、非常に新陳代謝の早い会社なら、社長なんて毎年代わったっていい、というくらいに考えている」

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