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LVMH傘下ゼニス、「機械式時計で342年ぶり新発明」 LVMHグループ時計部門トップ、ビバー氏に聞く

2017/10/20

仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)傘下のスイス時計の老舗、ゼニスが機械式時計の精度を大幅に高める駆動装置(ムーブメント)を開発した。一定の速さで時を刻む調速機構に、従来のテンプ(はずみ車)とひげぜんまい(金属コイル)を使った機構に代わり、単結晶シリコン製の新型オシレーター(発振器)を採用した。従来に比べて10倍の精度で、誤差を1日平均0.3秒に抑えた。LVMHグループ時計部門プレジデント、ジャン-クロード・ビバー氏に開発の狙いなどを聞いた。




LVMHグループ時計部門プレジデント、ジャン-クロード・ビバー氏

――機械式時計のための新機構を開発しました。

「非常に大きな革命的な技術だと考えています。テンプとひげぜんまいによる調速機構が1675年に発明されてから、342年ぶりとなる新たな機構です。2017年の今日に至るまで、全ての機械式時計が1675年に発明されたシステムを採用していました。これまでの300年以上の間、新機構の開発に挑戦した人はたくさんいたと思いますが、ゼニスが初めて開発に成功しました」

「全く異なる機構としては、(発振器に水晶を使う)クオーツ式が発明されましたが、これは電池を使うので機械式とは違う分野です」

■これまで存在する時計の中でも最も正確

新機構を搭載した腕時計「デファイ・ラボ」

「今回の機構は25年前には実現し得なかったものです。シリコン素材の開発や数式的な原理の証明が必要でした」

「新機構には大きな特徴があります。まず摩擦がありません。このため(この機構については)注油の必要がありません。シリコン素材の採用によって、温度や磁気による影響もありません。そして最大の特徴は、これまで存在してきた時計の中でも最も正しい精度を誇っています」

新型オシレーターの特徴 一定周期の振動によって時を刻む調速機構に、テンプとひげぜんまいに代えて、単結晶シリコン製のオシレーターを採用。標準的な調速機構が 30 以上の部品で構成されるのに対し、一体構造の単体設計とした。機械的な連結部分を持たないため、組立や調整、注油なども不要。調速機構に動力を伝える歯車も特殊形状のシリコン製とした。これまでの調速機構には部品の変形や膨張で精度が低下するという課題があった。
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