中古iPhoneの狙い目は? 7はまだ値下がりせず
アップルの最新スマホ「iPhone 8/8 Plus」の販売が2017年9月に始まり、iPhone Xも11月3には発売となる。だが、「新品は高価だから」といった理由で、中古品の購入を検討している人も多いだろう。iPhone 8/8 Plusの登場でiPhone 7以前の中古品の価格はどう変わったか、東京・秋葉原の中古店で取材した。
iPhone 7の値下がりは進まず
ヨドバシカメラAKIBAの近くに店舗を構えるじゃんぱら秋葉原4号店では、iPhone 8/8 Plusの未使用品や中古品が早くも入荷していた。16年、iPhone 7/7 Plusのジェットブラックモデルはしばらくプレミア価格が付けられていたが、iPhone 8/8 Plusはどのカラーもプレミア価格になることはなく、キャリアやアップルストアの販売価格とほぼ同じ水準の価格を付けていた。NTTドコモ版だと、64GB版のiPhone 8の未使用品が8万4800円前後、256GB版のiPhone 8 Plusの未使用品が11万2800円前後で売られている。
iPhone 8/8 Plusの価格が落ち着いているということで、iPhone 7以前の機種はかなり安くなっているのでは……と思われたが、意外にもそうではなかった。
同店の宮内和幸氏は「iPhone 7の販売価格は大きく変わっていない。もともとiPhoneの中古品は人気があり、年間を通じて品薄の傾向が強い。新型iPhoneが発売されて旧モデルになったからといって、iPhone 7をすぐ値下げすることはない」と説明する。iPhoneの人気の高さが相場の安定につながっていたのだ。
大手キャリアが実質0円販売や一括0円販売をやめたことも、中古品の価格が下がらない要因の1つといえる。一部で「官製スマホ不況」と言われるほどスマホ販売自体が低調になったことで、中古市場に流れてくる端末が減り、相場の下落が起きづらくなっているのだ。
iPhone 6sの中古品が狙い目
そのような状況ながら、買い得なiPhoneはちゃんと存在する。宮内氏は「近ごろ、iPhone 6sの中古品がよく売れている。内容を考えると価格は割安といえ、狙い目だ」と評価する。中古品でもいまだ5万円を軽く超えるiPhone 7に対し、iPhone 6sは3万円台前半まで価格が下がり、断然買いやすくなった。
iPhone 6sは、製品のナンバリングからすると旧々世代のように感じるが、iPhone 7sが欠番となったため、実際はまだ2年落ちの新しいモデルだ。CPUのA9チップは処理性能とグラフィックス性能が高く、最新のiOS11ももたつくことなく快適に動作する。液晶パネルは3D Touchに対応しているので、アイコンを強く押し込んでサブメニューを開くクイックアクションも利用できる。ローズゴールドのカラーが加わったのもiPhone 6sからだ。「iPhone 7以降にしかない耐水性能やApple Pay(FeliCaチップ)が必要なければ、あえて割高なiPhone 7を選ぶ理由は少ない」(宮内氏)
iPhone 6sが売れるもう1つの理由として、宮内氏はイヤホン端子の存在を挙げる。iPhone 7になって3.5mm径のイヤホン端子が廃止され、Lightning経由の有線接続かBluetooth経由のワイヤレス接続しか選べなくなった。有線タイプの高音質イヤホン&ヘッドホンをダイレクトに接続できるiPhone 6sは、音にこだわりを持つ人の支持を得ているという。イヤホン端子の有無で、あえて旧モデルのiPhone 6sを選ぶユーザーが出てきたことも面白い現象といえる。
宮内氏は「iPhone 6sなら、まだあと2年は現役で使える」と断言する。
とにかく安くは「リースアップのiPhone 6」
中古iPhoneのもう1つの売れ筋が、意外にも3年前に登場したiPhone 6だという。さすがに装備が古いと感じさせる部分も多く、なぜいまさら積極的に選ばれるのか疑問に思うかもしれない。だが、基本性能が十分でコストパフォーマンスに優れたiPhoneとして、「普通に使えるiPhoneを格安で入手したい」と考えるライトユーザー層を中心に選ばれているのだ。
最新のiPhone 7と比べると、CPUのパフォーマンスやカメラ機能で見劣りするほか、画面を押し込んで操作する3D Touchには対応しない。ARKitを用いて制作された話題のAR(拡張現実)アプリは、iPhone 6以前の機種では基本的に動かないのも残念な点といえる。だが、最新のiOS11へのアップデートはできる。前面から見た限りは最新のiPhone 8との違いは分からないほどで、見た目も古くささは感じない。液晶パネルの大きさや解像度もiPhone 8と同じなので、メールやLINE、カジュアルゲームなどライトな用途なら十分に使えるのだ。
格安で買える中古品が潤沢に出回っていることも、iPhone 6人気を後押しする。じゃんぱらには、格安SIMに対応するNTTドコモ版のiPhone 6 16GBモデルが2万円台前半前後で並んでいるが、1万円台の格安品も見受けられる。このような安価なiPhone 6は、ほとんどがリースアップ品だ。宮内氏は「法人向けにリースで貸し出されていたiPhone 6が返却され、まとまった数量が中古市場へ流れたことで供給過多になった。結果として、iPhone 6の相場を押し下げる原因につながった」と解説する。
リースアップ品は日々手荒に扱われてきたものが多く、キズやスレ、汚れが目立つ。画面の目立つ部分にキズやスレがある中古品は、使うたびに気になるので避けたほうがよいが、背面や側面のキズならばケースを装着すれば気にせずに済む。リースアップの中古品は均一価格で販売するケースが多いので、多くの中古品からできるだけコンディションのよいものを探し出せればラッキーといえる。
最新のiPhone 8/8 Plusを新品で買うとなると、容量によっては10万円を軽く超える出費を覚悟しなければならなくなった。中古品は、新品の1/2~1/5程度の予算でiPhoneが入手できる魅力的な存在といえる。新品と比べれば何かしらの欠点や不満は存在するが、現実的な選択肢として覚えておくとよいだろう。
(ライター 白石ひろあき)
[日経トレンディネット 2017年10月12日付の記事を再構成]
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