オリパラ

オリパラNews

埋め立ての五輪会場は何区? 40年論争、出口見えず 江東vs.大田 東京都の調停が不調なら訴訟の可能性も

2017/10/20 日本経済新聞 朝刊

東京都の江東、大田両区が帰属を主張する中央防波堤埋め立て地(東京都港湾局提供)

2020年東京五輪の会場として一部が使用される、東京湾の中央防波堤埋め立て地。その帰属を巡って江東、大田両区が争っている問題で、東京都が調停案を示した。江東区側にはボート・カヌー会場となる「海の森水上競技場」の大半や公園が属し、スポーツ拠点となる想定。一方、大田区側は整備が進むコンテナ埠頭を含み、産業集積を重視する形となった。だが大田区側は強く反発しており、決着の見通しは立っていない。

そもそも、なぜ埋め立て地を巡って争いになったのか。今後どのような展開が考えられるのか。埋め立て開始から40年以上に及ぶ経緯や背景などと合わせて整理した。

Q 中央防波堤埋め立て地とは?

A もともと都が1973年に埋め立てを始めたごみ処分場だった。当初は湾岸の中央、港、江東、品川、大田の5区が帰属が主張していたが、中央、港、品川の3区は2002年に主張を取り下げた。江東、大田両区は埋め立て地と橋やトンネルで結ばれるが、他の3区は飛び地になるため、帰属が認められる可能性は低いと判断したという。その後も江東、大田両区とも同埋め立て地の100%帰属を要求し、膠着状態が続いていた。

Q 両区の協議が本格化したのは?

A 20年東京五輪の存在が大きい。同埋め立て地には五輪のボート・カヌーの「海の森水上競技場」、馬術会場ができ、大会後もスポーツ拠点としての期待が大きい。これらの競技場がどちらの区に帰属するかも焦点になる。五輪までに結論を出そうという機運が高まり、両区長が16年に会談して協議を本格化した。ただ、双方の溝は改めて協議しても埋まらず、都への調停申請に至った。

Q 都の調停案の内容は?

A 帰属を争っている約500ヘクタールの86.2%を江東区、13.8%を大田区とする内容だ。地方自治法に基づき小池百合子知事が任命した自治紛争処理委員は「両区の護岸から等距離」を基本としたうえで、土地の使い道や歴史、地理的条件を考慮して分割割合を決めたという。江東区は受け入れる方向だ。

Q 大田区が反発しているのはなぜ?

A 「現在の護岸を基準にしては過去に埋め立てで土地が広がった区ばかりが有利になる」といった意見が目立つ。

Q 今後どのような流れが想定される?

A 調停成立には両区議会が受け入れを議決する必要がある。一方が拒めば成立しない。そうなれば境界の確認を求めて訴訟で争うか、都知事が裁定で決める。

Q そこまでして争う理由は?

A 確かに埋め立て地には住民もおらず、税収など直接的な利点は現状はほぼない。江東区はスポーツ拠点構想、大田区は羽田空港と臨海部一体での観光・産業振興を目指す。将来開発が進んだ場合の波及効果への期待はあるようだ。

江東区は都内のごみを埋め立てる際、ごみを運んだトラックが区内を走り、渋滞や悪臭に悩んだという思いがある。一方、大田区はかつてノリ養殖で生計を立てていた住民がいたが、漁業権を放棄した経緯があり、40年以上、争ってきた。関係者には「メンツの問題もある」「もはや後に引けないのでは」といった見方もある。

Q 過去に都の調停で決着した例は?

A これまで2件ある。大井ふ頭は品川区56%、大田区44%でまとまり、お台場地区は江東区75%、港区17%、品川区8%で決まった。ともに調停案を関係区が受け入れており、訴訟などに至ったケースはない。

[日本経済新聞朝刊2017年10月18日付を再構成]

オリパラ 新着記事

ALL CHANNEL