職人が生み出す世界品質 シャツに靴に究極の技が光る
高まる Made in Japan の発信力
世界のクラフツマンシップへの敬意、それを学ぶ情熱や深い探究心によって日本は世界トップクラスの職人がひしめく国になった。ファッションに分野でも、技を究めた職人たちが作り上げる洋装品への評価が急速に高まっている。シャツや革靴などでビスポーク(オーダーメイド)の高い品質を提供する「Made in Japan」の発信力に迫った。
ビスポークの品質をもっと身近に
MINAMI SHIRTS【南シャツ】 / 千葉
「誰もが手に取って満足できるシャツを作りたかった」 代表 南 祐太さん
南 祐太氏が2014年にショップをオープンし開業。ビスポークシャツを専門としてきたが、9月より既製&パターンオーダーシャツをスタート。10月には日本橋にも出店の予定だ。既製もPOシャツもビスポーク目線で設計されている
若手のホープとして服好きから注目されるシャツ職人、南氏は9月から既製シャツに乗り出した。「ビスポークの考え方で設計されたシャツの着心地を、一人でも多くの方に知ってほしい。そんな想いのもと、より手軽に体験していただける既製を始めました。背ヨークにはギャザーを入れ、袖は後付け&前振りで動きやすさに最大限配慮しています。パターンオーダーも同時に始めました。こちらは怒り肩、標準、なで肩と3種の肩線を用意しているのが特徴です」
PANTALONAIO OSAKU HAYATO【パンタロナイオ オサク ハヤト】 / 神奈川
「ビスポークに限りなく近づけたパターンオーダーを始動」 代表 尾作隼人さん
日本におけるパンタロナイオ(ビスポークパンツ職人)の草分けである尾作隼人氏が、パターンオーダーラインとして今年6月に始動させたブランド。早くも注文が殺到している。尾作氏独自のビスポーク仕立てをパターンオーダーに注入した。
ニッポンのビスポークパンツといって真っ先に名が挙がるのがオサク。地位を確立した尾作氏が次なるプロジェクトとして選んだのがパターンオーダーラインの立ち上げだ。「生産こそ外部ファクトリーですが、何度も工場に足を運び、ビスポーク的仕立てを出来る限り盛り込みました。フィットを高めるためカーブさせたウエストバンドや膝位置を中心としてM字にカーブさせたラインが代表例です。芯材やボタンまでこだわった力作です」
「究極のクオリティ」への挑戦
YOHEI FUKUDA【ヨウヘイ フクダ】 / 東京
「世界に認められるニッポン靴を目指しました」 代表 福田洋平さん
19歳で渡英して靴作りを学び、英国超一流靴ブランドの職人としてキャリアを積んだ福田氏が2008年に独立。北青山にアトリエを構え、現在は海外でのトランクショーもこなす。底付け以外はビスポークと同様の最高級レディメイドだ
香港の「アーモリー」をはじめ、世界のショップや服好きから支持されるヨウヘイ フクダが、9月より既製靴を始動した。「底付け以外はすべてビスポークと同様、私のアトリエで手作業により制作しています。国内だけでなく世界にニッポン靴の出来を知ってほしいと考えたことが、既製を始めた理由。英国には世界的に知られる既製靴メーカーがいくつもありますよね。ニッポンも将来そうありたい、そんな気概を込めています」
RING JACKET【リングヂャケット】 / 大阪
「リングの企画力×ナポリの手仕事の結晶です」 クリエイティブdiv.マネージャー 奥野剛史さん
1954年に創業。ナポリのサルトリア仕立てに影響を受けた、軽く丸みのあるスタイルを得意とする。現在はアメリカをはじめ海外展開も拡げ、インターナショナルなブランドに。単なる別注を超えた新しい次元のモノ作りと評価されている
ファクトリーからブランドへと脱皮し、ここ数年で"発信力"を著しく成長させてきたリングヂャケット。「ナポリ」ラインもその好例だ。「型紙はすべてリングが起こし、それをナポリの様々な専業工房に持ち込んで制作するラインです。60年以上の歴史を通して、リングには"日本人のための服"を作るノウハウが蓄積されています。その企画力とナポリ伝統の"手の技"を掛け合わせた、今までにないモノ作り。今後もより拡充予定です」
※表示価格は税抜きです。
撮影/ケビン・チャン スタイリング/武内雅英(CODE) 取材・文/長崎義紹 文/池田保行(04)
[MEN'S EX 2017年11月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。