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小沢コージのちょっといいクルマ

EVならクリーン? マツダのMr.エンジンと考えてみた

2017/11/1

マツダのスカイアクティブ技術のけん引役である人見光夫常務(右)

 現在開催中の東京モーターショー2017でも、大きな話題になっている電気自動車(EV)。欧米のメーカーがEVへシフトする中、積極的にクリーンな内燃機関の開発を進めているのがマツダだ。トヨタとEVの共同開発を明言しつつも、マツダはなぜ内燃機関の進化に挑むのか。新時代環境エンジン「スカイアクティブX」のけん引者、Mr.エンジンこと人見光夫常務に小沢コージ氏が直撃した。

■今のEV包囲網をどう思う?

小沢 まずは今回試乗させていただいた新エンジンのスカイアクティブXですが、すごいですね。トルクの出方がハンパじゃない。さらにすごいのは今後分かるであろう実燃費だと思いますが、具体的にはどこがどう優れているのでしょう?

人見 結局はガソリンを薄く燃やす部分と断熱性です。特に希薄燃焼というのが猛烈に大きい。

小沢 要するに理論空燃比の14.7を大きく超える、空燃比30以上の超薄いガソリン混合気を燃やす部分ですよね。バーチャルピストンというか、燃焼室の中でまずプラグ周辺が燃えてそれがピストン化し、周りを圧縮着火させる。

人見 それがいわゆる「ノッキング」と呼ばれる異常着火なんです。今回のスカイアクティブXのポイントはまさにそれ。「手なずけたノッキング」ということなんです。

マツダの新時代環境エンジン「スカイアクティブX」搭載車のプロトタイプ

小沢 内燃機関もまだまだ進化しているということですね。難しい技術の話はさておき、今回はズバリ、今のEV包囲網というか、世界的EV戦略についてお聞きしたいのです。先ほどのスカイアクティブXの発表会では「マツダは内燃機関で行けるところまで行く」とおっしゃっていました。今やみんなすぐにでもエンジンを捨て、EV化する勢いです。ぶっちゃけ、どう思われますか。

人見 マツダもEVはEVでやりますけど、いま内燃機関の改善をゆるめる理由はまるでないと思ってます。比べると欧州では、エモーショナル(感情的)な部分がありますよね。例のディーゼル排ガス問題の「後遺症」だと思われますが、道路で窒素酸化物(NOx)排出量を測ったりする団体があって、ロンドンの広範囲の道とかドイツのシュツットガルトなどで空気中のNOx濃度が環境基準を超えることが結構あるんですよ。

小沢 環境団体の中には、「そのせいで何千人も死んでいる」と主張するところもあるらしいですね。

人見 ドイツの一部都市には、基準を超えたら市長は絶対対応しなければいけないという法律もあるんです。「新しい規制に対応したエンジン車以外は町に入れない」などの策を取らない限り、市長が政治をしていないと判断されかねない。

小沢 そのあたりはかなり日本と差がありますよね。日本じゃ光化学スモッグが問題になったのは主に僕が小学生の時代ぐらい(笑)。

人見 そんなときに欧州で「規制に対応したクルマを走らせていれば、本来もっときれいなはずなんですが」なんていえるわけがありません。いま日本で自動車の排ガスによる環境問題が起きていますか? と聞かれれば、私は起きてないという認識です。つまり、ちゃんとやっていれば今の環境規制でも問題ないとも言えるわけです。

小沢 なるほど。今の最新規制をクリアしていれば、ガソリン&ディーゼルの環境問題は起きてないという判断なんですね。EVシフトをことさら急ぐ必要はないと。

■現状を検証せずに進むEV化

人見 もう一つ大きいのは中国マーケットの存在です。ドイツブランドは中国市場がEV化を必ず進めると分かっているから、中国向けにものすごい数のEVを用意しています。でも、それらを欧州や世界向けのように言っているわけです。

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