小沢 そうなんですよね。日本じゃあまり知られていないけど、ドイツは今や中国がダントツの超お得意先で、VWグループ一つとっても年間300万台以上も売っている。つまり年間1000万台のVW車のうち3分の1が中国で売られるわけで、先日もVWが「2025年にEV300万台と言ったのは半分は中国向け」と認めたようです。

人見 先日、イタリアで聞いて驚きましたが、今あちらで走っているディーゼル車は、最新の排ガス規制である「ユーロ6」に対応しているものは少ないそうです。残りの車はそれよりも古い規制である「ユーロ5」や「ユーロ4」対応の車だそうです。街中を走っている車の多くがNOxや二酸化炭素(CO2)を最新の基準値よりも多く出していたら、空気がきれいになることはないと思います。

小沢 何を信じていいか分からないですね。

人見 要は本当に最新の規制にすべて適合させたら今のような問題は起きますか? ということです。その検証もしないでEV化を推し進めているように見えるのがヘンなんです。EVをすべてクリーンと見なすのも間違いで、とんでもない電力消費のクルマを作ってもゼロ、すごく電力消費が少ないクルマを作ってもゼロというのもおかしい。

小沢 確かに感情的ですよね。リクツがあるようであまり見えてこない。実際、EVの最大の問題といっても、その場ではCO2を出していないクルマでも、発電に火力発電所使っていたら、実際はCO2を出しているクルマということじゃないですか。

人見 中国には砂漠に太陽光パネルを付けてクリーン発電をしてそれをEVに回すという話もあるそうですが、それ以前に石炭発電を減らすほうが先じゃないですかと。日本もそうです。現在、日本で発電している電力のうち、約3割が石炭発電。結局のところEV化しても、それを減らさない限り、国としてのCO2排出効果は薄い。削減効果が高いほうから減らすべきだと私は思うんです。

小沢 クルマの話というより、その国全体で出すCO2やNOxの話になりますよね。

人見 せっかくキレイな発電をしたとして、それをクルマのほうに回そうというリクツが分からないんです。順番があるんですよ。まず石炭発電をなくしました、原油発電、天然ガス発電をなくしました。そうやって効率化したうえで、さらに電気が余っています、じゃEVを導入しましょうとなればいいんです。発電は発電でCO2をなくす、自動車は自動車でCO2を減らす。両方で頑張ったほうがいいでしょう。

小沢 それがマツダが内燃機関で頑張り、スカイアクティブXを世に出す理由ですね。

人見 すでに自動車には効率的な燃料分配システムであり、燃料供給スタンドもそろっている。EVのインフラを作るのにどれだけの資源とエネルギーを使うというのでしょうか。現状を効率化する利点をもっと見直すべきだと思うんです。派手ではないかもしれませんが。

小沢 確かにスカイアクティブXもクルマ自体は意外と地味ですよね。エンジン音は出すし、一見燃費が良くてパワーを効率的に出す昔ながらの自動車。

人見 それでいいんです。本当に効率的なら。

「スカイアクティブX」はクルマ自体は意外と地味。しかし人見氏は「本当に効率的ならいい」という

根深いヨーロッパコンプレックスの問題

小沢 それからトヨタやホンダがEVで遅れているように言われるのもなんだかおかしくはないですか。製品企画や部分的技術で劣っている部分はあるかもしれないですが。

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