「運動で美しく」 スポーツ用品、女性を狙い進化競う
よくわかる スポーツシューズ(2)
シューズを含めたスポーツ用品市場のけん引役として注目が高まっているのが女性だ。健康志向を越え、筋トレに取り組む「腹筋女子」が流行になるなどスポーツに取り組む女性が増えている。商品戦略のほか、「スポーツを通じて美しくなる」とのメッセージなどPR戦略も多様だ。
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女性専用ランニングシューズを開発
女性専用ランニングシューズを開発したのがアディダスだ。アディダスは2017年に最も注力する事業として「スポーツ女性層の拡大・取り込み」を掲げている。16年に発売した「ピュアブーストX」に続く女性専用ランニングシューズ第2弾として、2017年2月に「ウルトラブーストX」の販売を始めた。
「ランニング機能をさらに進化させた」。アディダスジャパンの西脇大樹ランニング部門担当シニアマネジャーは新製品について解説する。
まずアッパーの土踏まず部分を包み込むような形状にするため、アッパーとミッドソールを切り離したデザインを採用した。女性に多いアーチ状の土踏まずにフィットさせることができる。
ミッドソールには同社の独自素材「ブーストフォーム」を100%使用。特殊なポリウレタンビーズに独立気泡をとじ込めて連結させ、従来の素材よりも飛躍的に機能が向上したという。筋力の少ない女性でも楽に走ることができる。
ブーストフォームは構想から商品化まで8年を費やしたという最先端の素材だ。ドイツの化学会社との共同開発で、単一素材で高次元の衝撃吸収性と反発性を両立させ、耐久性と耐温性を引き上げた。
マーケティングにも心を砕く。発売に合わせ、東京・表参道に女性限定のランニングステーション「ラウンジx」を期間限定でオープン。ウエアやシューズを無料で貸し出し、更衣室も提供。手ぶらで都心をランニングできるようにした。
女性向けスポーツコミュニティー「ミーキャンプ」も設けている。都内のアディダスストアのスタッフが、エクササイズなどの助言をするなど継続的に運動を楽しむ環境を整える。
スポーツ各社、女性層の開拓競う
他のスポーツメーカーの意識も女性層の開拓に向かっている。シューズ以外でも動きが活発だ。ゴールドウインは2月、女性用スポーツウエアブランド「ダンスキン」からトレーニングウエアを発売。生地の表面に撥水(はっすい)加工をほどこし、トレーニング中に汗染みができにくい。
米国のブランド「アンダーアーマー」を日本で展開するドーム(東京・江東)は、女優の長澤まさみさんと日本人女優としては初となるアドバイザリー契約を締結。スポーツを通じて体を美しくする意識の向上をお客に促すとしている。
「今後もスポーツをする女性は増える」と、アディダスジャパンの西脇シニアマネジャーはみる。需要を見込んで女性用に力を入れるメーカーが増えそうだ。
[日経産業新聞 2017年3月28日付を再構成]
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