広がる競技の裾野 新たな専用スポーツ靴が続々誕生
よくわかる スポーツシューズ(4)
ランニングブームは競技の裾野を広げたともいわれる。代表的な競技は山中を走るトレイルランニング。自然に親しみながら走れると愛好家が増えている。そこでゴールドウインは2月、「ザ・ノース・フェイス」からトレイルランニング用シューズ「エンデュラス ハイク ミッド ゴアテックス」を発売した。
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ソール部分に4層構造を採用
「硬い岩場や雨でぬれた地面でもパフォーマンスを発揮できる」。同社ノースフェイス事業部フットウエア担当の木村豪文氏は話す。最大の特徴はソール部分を4層構造にして快適性を維持しつつ強度を高めた点だ。
まず足のすぐ下に位置する部分に柔らかい素材の「エクストラフォーム コア」を配置し、このコア部分を硬度の高いミッドソールで包み込んだ。「クッション性と安定性を高度に両立できる」(木村さん)という。
3~4層には屈曲性とねじれ剛性に優れた素材と特殊な溝加工で耐久性と防滑性を高めたアウトソールを使用。シューズ内は防水透湿性に優れたゴアテックスメンブレンを採用し、雨でも快適に走り続けやすいという。
現在国内に流通しているトレイルランニング用シューズは外資メーカーの製品が多い。フランスで誕生した「サロモン」はラグの高いアウトソールがグリップ力を発揮。「ホカ オネオネ」はグリップ力で滑りやすい路面や斜面に対応する構造などが持ち味だ。競技者が増えれば、国内勢などの参入余地も高まる。
さまざまな専用スポーツシューズが登場
競技のほか、トレーニング方法の変化も新たなシューズを生む。例えば筋力トレーニングの直後にランニングなどの有酸素運動をすると脂肪を燃焼しやすく、持久力がつくという見方もある。
ゴールドウインは筋トレと室内ランを1足でカバーできるシューズを開発した。2月に発売した「ウルトラニュートラル」はタン部分とライニングが連結し、足首周りのホールド力が高い。重い重量を持ち上げて足に負荷をかけてもシューズ内の足ズレを防げる。
アウトソールはノンマーキングラバーを採用し、床面に跡が残らない。ミッドソールは硬度を変えた2層構造で、自然な足の動きを促して足裏全体で衝撃を吸収する。筋トレ直後にランニングマシンを使ってもスムーズに走れるという。
2020年の東京五輪で正式種目に決まったスポーツクライミングにも注目が集まっている。競技人口・参加人口が増えればビジネスチャンスも広がる。これまではランニングシューズで代用されることが多かったが、今後はさまざまな専用スポーツシューズが登場してくる可能性がある。
=この項おわり
[日経産業新聞 2017年3月30日付を再構成]
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