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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCoとNISAと「つみたてNISA」 選ぶならどれ? iDeCoで投資デビュー(10) オフィス・リベルタス 大江加代

2017/10/18

 つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)が来年1月から始まるということで、iDeCo(個人型の確定拠出年金)とNISAだけでなく、iDeCoとつみたてNISAの使い分けについて聞かれることが最近急に増えてきています。ただ、誤解している方が結構いるのでいつも最初にお話しするのですが、そもそもiDeCoやNISAというのは金融商品の名前ではなく制度の名称です。金融機関の店頭に「税金がお得だというiDeCoを下さい!」と言ってくる人がいるようですが、それは誤解で、iDeCoそのものは買えません。制度である以上、それぞれの目的や使い方には違いがあります。順に確認していきましょう。

■iDeCoとNISAではiDeCo優先

 iDeCoもNISAも資産形成を目的とした制度である点は同じですが、iDeCoは特に「老後のお金を準備する」のが目的です。したがってお金は60歳までおろせませんが、運用益が非課税になる優遇措置は受け取り完了まで続き、その間の商品の売買回数や売買金額についてはまったく制限がありません。

 一方、NISAは使途を定めず資産形成を有利に行うための手段です。どちらも運用益が非課税という点では共通していますが、iDeCoは公的年金の補完という位置づけですから、NISAと違って掛け金が全額所得控除されますし、元本確保型の預金や保険も利用できるのが大きな違いです。逆にNISAでは株式や上場投資信託(ETF)も買えますが、iDeCoでは買えません(これは法的な問題ではなくシステム上の理由です)。

 また、NISAは20歳以上であれば誰でも利用でき、職業や立場によって利用法や利用限度額に違いが出ることはありませんが、iDeCoは本質的には「年金」なので、加入して掛け金を出せるのは60歳までと制約があり、その人の働き方によって掛け金の上限額も異なってきます。自営業など多くの額の拠出が認められている方は、逆に言えば国や会社からもらえる年金が多くないということですから、優先的にiDeCoを活用して自分でしっかり老後に備えることが大切です。つまり現在働いていて収入があり、老後の資産づくりを重視したいという方はNISAよりもまずiDeCoを優先して利用すべきでしょう。

■2つのNISAの違いは主に「期間」

 来年1月からは現行のNISAに加えて、新たにつみたてNISAという制度が始まります。どちらも少額投資非課税制度の枠組みの中のものですから、投資することで得られる収益に対して税金がかからないという意味では同じです。投資で税金がゼロになることはほとんどありませんので、投資を通じて資産形成をしようと考える人にとっては非常に有利な制度です。

 この2つの制度の違いは(1)利用限度額と非課税期間、そして(2)対象商品です。(1)から説明しますと、通常のNISAは限度額が年間120万円で期間が5年ですが、つみたてNISAは限度額が年間40万円で期間は20年です。つみたてNISAの年当たりの限度額はNISAの3分の1ですが、非課税期間は4倍もあります。これは明らかにつみたてNISAが「長期の資産形成のための制度」と位置づけられているからでしょう。

 また(2)ですが、つみたてNISAはその口座内で買える商品がかなり絞られます。これは長期の積み立てにふさわしい商品という観点から、毎月分配型投信など分配金が頻繁に支払われる商品や、レバレッジ型投信など値動きが大きく複雑な商品は対象外となっているためです。現状では公募投信114本(インデックス型が100本、アクティブ型が14本)が対象商品としての要件を満たすと金融庁は発表しています(10月13日時点)。つみたてNISAの対象商品には信託報酬の安いものがそろっているのも特長です。

 そしてこのNISAとつみたてNISAは毎年どちらか1つしか利用できません。したがって長期での資産形成を第一に考えるのであれば、同じNISAでもつみたてNISAを優先して考えたほうがいいでしょう。

■大事なのは目的に合った使い分け

 最後に、よく「iDeCoとNISAのどちらを利用すべきか?」というご質問をいただくことがあります。でもこの2つに関しては、全ての人にとって一律にどちらがいいとか有利だと言えるものではありません。冒頭で述べたように、これらはいずれも制度の目的が異なるからです。

 老後のための資産づくりであれば最優先で考えるべきなのはiDeCoですが、例えば専業主婦のように収入のない人が、リスク商品で投資を始めたいというのであればiDeCoよりもつみたてNISAの方がいいだろうと思います(専業主婦だと掛け金が全額所得控除されるiDeCoの税制メリットが生かせないため)。また同じ長期投資でも株式で資産形成を図ろうということであれば、つみたてNISAでは今のところ株は買えませんので、通常のNISAを利用するのがいいと思います。同じ非課税制度でも、目的に合わせて使い分けるのが大事だといえそうです。

大江加代
 大手証券会社で22年間勤務し、一貫して勤労者の資産形成に携わる。確定拠出年金については法の成立前から10年以上企業型の現場で関わり、のべ25万人に対する投資教育の企画・運営にも携わった。現在はオフィス・リベルタス取締役で、NPO確定拠出年金教育協会理事として情報サイト「iDeCoナビ」も創設。http://www.dcnenkin.jp/

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