急行や快速、特急、準急など、鉄道会社によって電車の種類はさまざまだ。急行が快速より速い路線もあれば、逆のケースもある。直通運転の拡大で、急行が途中から各駅停車に変わる珍現象も起きている。なぜこれほど電車の種類が増えたのか。調べてみた。
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急行が途中から各駅停車に
東京・渋谷駅と横浜駅を結ぶ東急東横線。2013年に東京メトロの地下鉄副都心線と直通運転が始まり、複雑な運行が続いている。
まずは横浜駅から急行電車に乗った。行き先は「和光市」。横浜高速鉄道みなとみらい線から乗り入れ、渋谷駅から副都心線になる直通列車だ。
渋谷で地下鉄となり、東新宿駅まできたところでアナウンスが流れてきた。
「急行電車の通過待ちを致します。発車までしばらくお待ちください」
急行に乗っていたはずでは? と思い、行き先表示を確認したところ、「各停」となっている。東横線内は急行だったのに、渋谷駅を境に各駅停車に変わったようだ。
そのまま乗り続けて和光市駅でいったん降り、ホームに出る。隣のホームで行き先表示の電光掲示板を見ると、「普通 川越市」とある。普通? 各停ではないのか?
確認のため、副都心線ホームに移動すると、こちらは「各停 元町・中華街」……。何ともややこしい表示だ。
東武東上線では「快速>急行」
東横線や副都心線には、西武池袋線、東武東上線、みなとみらい線が乗り入れている。実はこれらの路線、鉄道会社ごとに「急行」「快速」などの呼び名が違うのだ。
専門用語では「急行」や「快速」などの列車の種類のことを「種別」と呼ぶ。この種別を速い順に並べてみよう。
まずは東武東上線。「快速急行」「快速」「急行」「準急」「普通」となっている。
これに対して西武池袋線は、「快速急行」「急行」「通勤急行」「快速」「通勤準急」「準急」「各停」だ。
一方で副都心線はというと、「急行」「通勤急行」「各停」。東急東横線は「特急」「通勤特急」「急行」「各停」、みなとみらい線は「特急」「通勤特急」「急行」「各停」となっていた。
東武線、複雑な種別変更の歴史
似たような名前が並び、よく分からなくなってきたかもしれない。だがよく見ると、鉄道会社によって速さの順番が微妙に違う。特に不思議なのが、急行と快速の順番だ。多くの路線が「急行>快速」となっているのに対し、東武東上線だけは「快速>急行」と逆転しているのだ。