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素材業界、男社会に風穴 地道に実績を積んで「待つ」

2017/10/17 日本経済新聞 朝刊

 男性社員ばかりの素材業界で、女性活躍はどう進んでいるのか。女性の少ない厳しい環境下で、男社会の企業風土に新風を吹き込む女性たちを追った。

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■技術職で唯一の女性部長 JFEスチールの杉原玲子さん

 JFEスチールの東日本製鉄所千葉地区(千葉市)。広い敷地にそびえ立つ高炉、ドロドロに溶けた鉄を運ぶ鉄道、張り巡らされたパイプラインは一つの街のよう。隣接するスチール研究所ステンレス鋼研究部の杉原玲子さん(51)は同社の技術職ではただ1人の女性部長だ。同社の女性管理職比率は1.4%。平均の1割程度を大きく下回る。

研究所で部下と打ち合わせをする杉原玲子ステンレス鋼研究部長(千葉市中央区のJFEスチール)

 「入社26年。女性は確かに少ない職場環境だけれど、昔と違って会社の体制は整っている」。杉原さんは研究員と技術員計25人をまとめるリーダー。ステンレス鋼材の耐熱性や耐腐食性能を上げる研究の日々だ。名古屋大で金属研究の修士課程を修了して1991年に入社した当時、総合職の新卒300人のうち女性は9人。技術職で同期の女性は結婚や転職を理由に退職し、今は彼女1人だという。

 入社当時は深夜勤務が規制されており、製鉄所社員は全て男性。「それでも現場になるべく近い職場を」と希望。自動車用鋼板や飲料缶、ブラウン管用の鋼板を開発する研究所でキャリアを重ねた。2009年に初めて製鉄所に配属され、ものづくりの現場の魅力と大変さを知った。

 製鉄所の現場で働きたいと希望する女性社員は少なくない。「トイレがない。更衣室がない。そんな当たり前だけれど重要な環境を変えていくことから始まった」と話す。今年度からは全国の製鉄所内で保育所を開設し、女性たちが働く素地が整いつつある。

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