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津田大介 eスポーツ、飛躍の鍵は「成功の逆輸入」 プロチーム「DeToNator」代表に聞くeスポーツの未来

2017/10/19

江尻さんによれば理由は2つあるという。1つは「ノウハウの蓄積」だ。「eスポーツについて我々はまだ順を追って学ばなければならないし、人脈もつくる必要があります。だから欧米、韓国、台湾の大会には、学びに行っているつもりで参加しています」

もう1つの理由が面白かった。海外の大会に出ることが、国内の評価を高める近道だと考えているのだ。

「国内ではマイナーなスポーツでも、世界大会で優勝するとメディアに取り上げられ、評価が一変することってありますよね。『DeToNatorは海外で活躍しているチーム』という認識を広めて、その評判を逆輸入したいんです」

ただ海外での成功は簡単ではない。江尻さんによれば、現在、世界で最も人気が高いゲームは前出の『カウンターストライク』のほかに、『リーグ・オブ・レジェンド』(プレーヤーがチームに分かれ、お互いの本拠地を破壊することを目指すゲーム)、『Dota 2』(これもプレーヤーがチームに分かれ、相手の本拠地を破壊することを目指すゲーム)、『ハースストーン』(トレーディングカードゲーム)だという。これらは総称して「Tier 1」と呼ばれる。Tier 1で活躍している日本人はいない。DeToNatorの現在の目標は、これらの国際大会で世界のトッププレーヤーと戦えるようになることだ。

■マイナーな分野に冷ややかな日本人

eスポーツの注目度は上がってきたが、選手のスキルはまだ世界と対等に戦えるレベルにはなっていない。このあたりの話はサッカーなどのスポーツともよく似ている。Jリーグができて代表チームがワールドカップにも出て「世界との差がだいぶ縮まったよね」と言われるが、実際にはまだ相当な差があるのが現実だということだろう。その差を縮め、本格的なeスポーツを普及させていくには、何を変えていくべきなのか。

「大切なのは、現場の選手の意識改革だと思います。ゲームは好きでうまいけれど、契約の意味もわからない、お金の意味もわからない、というプレーヤーも実は多いのです。現状置かれているすべてについての理解が足りないのであれば、そこにお金が発生しても、将来、何も生まないでしょう。行動にも、発言にも、外見へのこだわりも『プロである』という自覚が必要になってきます。すべての根源は選手の質だと思っていますから」

その上でスター選手が必要だとも力説する。「ファンは見たい選手がいるから会場に足を運ぶんです。野球やサッカーのように『ルールは分からないけど、あの選手を見てみたい』という選手が出てくることが重要だと思います」

プレーヤーの意識を俎上(そじょう)に載せる一方で、江尻さんは「見る側の意識」もeスポーツに立ちはだかる根本的な問題ではないかと指摘する。日本ではゲームそのものの社会的評価が低いというのだ。

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