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津田大介 eスポーツ、飛躍の鍵は「成功の逆輸入」

プロチーム「DeToNator」代表に聞くeスポーツの未来

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NIKKEI STYLE

PCゲームのプロゲーマーたちが対戦してスキルを競うeスポーツ。世界では賞金総額22億円という大会も開かれている。前回(「津田大介、eスポーツに興味津々 世界で花開く3要素」)はそのeスポーツが海外でブレークした理由を探った。では、日本の現状はどうなのか。今回は日本有数のプロゲーミングチーム「DeToNator(デトネーター)」代表の江尻勝さんの話を聞きながら、日本のeスポーツの現実を見ていく。自身もプレーヤーとして活躍し、現在は、世界を舞台に戦うチームを率いる江尻さんの話から浮かび上がってきたのは、プレーヤーと見る側、それぞれが持つ問題だった。

チームの主戦場は海外

DeToNatorの設立は2009年。人気ゲームタイトル『アライアンス・オブ・ヴァリアント・アームズ(Alliance of Valiant Arms:AVA)』(架空のヨーロッパ大陸を舞台に戦闘するシューティングゲーム)をプレーするチームとしてスタートした。

「私が『AVA』で日本一になった11年のイベントでも、会場の後楽園ホールに2000人を超える人が集まりました。当時からある程度の動員力はあったのです。しかし、スポンサーとして多種多様な企業に興味を持っていただくようになったのは14年ごろから。『eスポーツ』という言葉が広まったおかげです」

現在、DeToNatorには二十数名の選手が所属。『オーバーウォッチ(Overwatch)』(プレーヤーが特殊能力を持つヒーローとなり、チームで対戦するアクションシューティングゲーム)部門、『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ(Counter-Strike: Global Offensive:CS:GO)』(プレーヤーが、対テロ特殊部隊とテロリスト、それぞれのチームに分かれて対戦するシューティングゲーム)部門など、プレーするゲームタイトルごとに分かれて活動している。協賛するスポンサーも7社に上る(17年10月11日現在)。

チームの主戦場は海外だ。16年に台湾のプロリーグ「AVA Elite League」で2位にランクインし、17年にはeスポーツ先進国である韓国の「Overwatch APEX Challengers」で8位に入った。17年8月には賞金総額35万ドルというドイツの大会「ESL PUBG INVITATIONAL」にも招待出場で参加した(『プレイヤーアンノウンズ バトルグラウンズ[PUBG]』は最大100人のプレーヤーが島内にある装備などを駆使して最後の1人になるまで戦い抜くサバイバルゲーム)。

拠点も海外に広げつつある。「2016年には台湾に、選手が泊まってゲーミング活動をする拠点『DeToNatorハウス』を設置しました。どうせ海外で試合をするのなら、異国の地のストレスの下で練習したほうが効果が見込めるからです。さらに2017年には韓国で『DeToNator Korea』、ヨーロッパで『DeToNator Europe』という、現地の選手をサポートする活動も始めました」

海外の成功を逆輸入したい

日本でも「日本eスポーツリーグ」というプロリーグが16年からスタートし、さまざまな大会も開かれている。DeToNatorが海外に力を入れるのはなぜなのだろう。

江尻さんによれば理由は2つあるという。1つは「ノウハウの蓄積」だ。「eスポーツについて我々はまだ順を追って学ばなければならないし、人脈もつくる必要があります。だから欧米、韓国、台湾の大会には、学びに行っているつもりで参加しています」

もう1つの理由が面白かった。海外の大会に出ることが、国内の評価を高める近道だと考えているのだ。

「国内ではマイナーなスポーツでも、世界大会で優勝するとメディアに取り上げられ、評価が一変することってありますよね。『DeToNatorは海外で活躍しているチーム』という認識を広めて、その評判を逆輸入したいんです」

ただ海外での成功は簡単ではない。江尻さんによれば、現在、世界で最も人気が高いゲームは前出の『カウンターストライク』のほかに、『リーグ・オブ・レジェンド』(プレーヤーがチームに分かれ、お互いの本拠地を破壊することを目指すゲーム)、『Dota 2』(これもプレーヤーがチームに分かれ、相手の本拠地を破壊することを目指すゲーム)、『ハースストーン』(トレーディングカードゲーム)だという。これらは総称して「Tier 1」と呼ばれる。Tier 1で活躍している日本人はいない。DeToNatorの現在の目標は、これらの国際大会で世界のトッププレーヤーと戦えるようになることだ。

マイナーな分野に冷ややかな日本人

eスポーツの注目度は上がってきたが、選手のスキルはまだ世界と対等に戦えるレベルにはなっていない。このあたりの話はサッカーなどのスポーツともよく似ている。Jリーグができて代表チームがワールドカップにも出て「世界との差がだいぶ縮まったよね」と言われるが、実際にはまだ相当な差があるのが現実だということだろう。その差を縮め、本格的なeスポーツを普及させていくには、何を変えていくべきなのか。

「大切なのは、現場の選手の意識改革だと思います。ゲームは好きでうまいけれど、契約の意味もわからない、お金の意味もわからない、というプレーヤーも実は多いのです。現状置かれているすべてについての理解が足りないのであれば、そこにお金が発生しても、将来、何も生まないでしょう。行動にも、発言にも、外見へのこだわりも『プロである』という自覚が必要になってきます。すべての根源は選手の質だと思っていますから」

その上でスター選手が必要だとも力説する。「ファンは見たい選手がいるから会場に足を運ぶんです。野球やサッカーのように『ルールは分からないけど、あの選手を見てみたい』という選手が出てくることが重要だと思います」

プレーヤーの意識を俎上(そじょう)に載せる一方で、江尻さんは「見る側の意識」もeスポーツに立ちはだかる根本的な問題ではないかと指摘する。日本ではゲームそのものの社会的評価が低いというのだ。

「海外で活動して感じるのは、一生懸命にゲームに挑んでいる人たちに対する周囲のリスペクトです。もちろんゲームに没頭している子どもを心配する家族はいます。でも、それとは別に、一生懸命にゲームに取り組んでいる人たちを応援して、認めている。それはゲームに限らず、どんなにマイナーな分野でも同じなんです。それに比べると、日本ではマイナーな趣味に熱中している人に冷ややかな雰囲気があるようにも感じます。eスポーツの盛んな国は、ジャンルに限らず、一生懸命に取り込んでいる人をリスペクトしている雰囲気があります」

そう感じているからこそ、DeToNatorは海外での成功を日本に持ち込もうと考えているのだろう。

将棋とeスポーツの差は何か

江尻さんとの話で見えてきたのは、eスポーツの海外と日本の盛り上がりの違いは、ゲームという文化そのものに対する評価の差だということだ。確かに日本は基本的に文化に予算をかけない国で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でも1人当たり国内総生産(GDP)における文化予算は下位にランキングされている。そして「文化を助成しよう」となると、伝統芸能に偏る傾向もある。

しかし、日本人がゲームを評価しないかというと、決してそうとは限らないと思うのだ。

将棋の藤井聡太四段が29連勝したのは、17年を象徴する出来事だった。藤井四段は本当にすごいと思うが、将棋だって、言ってしまえばたかがゲームだ。それをテレビや新聞社が追いかけて、大フィーバーした。ゲームである将棋をやっている人を受け入れる土壌はすでにあるわけだから、「では、なぜ他のゲームはダメなのか」という問いかけがこれからなされるべきだと思う。

津田大介
 ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

(編集協力 島田恵寿=コンテクスト、写真 吉村永)

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