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もうかる家計のつくり方

手取り72万円でも足りない? 娘の進学と老後の資金 家計再生コンサルタント 横山光昭

2017/10/18

PIXTA

 会社員のTさん(47)は会社役員の夫(50)と共働き。高校2年生の長女、高1の次女の4人暮らしです。夫妻の収入を合わせると、毎月72万円超の手取りがありますが、貯蓄できるのは月平均で6万6000円ほどしかなく、貯蓄額は190万円にとどまっています。今後、2人の娘の大学進学でまとまったお金がかかります。そこで「家計を改善しなければ」と焦り始めたTさんが相談に来ました。月に72万円超の手取り収入がありながら、なぜ娘2人の進学費用が足りないのでしょうか。

■教育費に月16万円超

 Tさんはもともと、ボーナスで貯蓄を増やそうと思っていました。会社役員の夫にはボーナスはありませんが、Tさんには夏冬それぞれ20万円ほどのボーナスがあります。しかし、固定資産税の支払いや帰省の費用などで底をつくそうです。ただ、手取りで月72万円超の収入があるのに貯蓄が全くできない月があるということのほうがむしろ深刻で、日々のやり繰りに問題があるとしか思えません。

 Tさん一家の家計は特に教育費と食費が一般の家庭に比べ、突出しています。それに引きずられるかのようにほかの費目も支出が膨らんでいます。

 教育費は2人の娘の学費と塾の費用です。「教育ママ」と呼ばれそうなくらい夫とともに子どもの教育に熱心に取り組んできたTさん。「良い大学に通わせ、良い人生を歩ませたい」という強い思いから、2人とも私立の進学校に通わせ、それぞれを志望大学への進学率の高い塾に通わせています。その結果、教育費は月に16万円超にも膨らんでいました。Tさん夫妻は「どの家も教育費はこんなものだろう」と思っていたようで、一般の家庭に比べて高額だと思ったことはなかったそうです。

 長女は高校卒業後、国内の大学には進学せず、留学を希望していますが、高校の進学担当の教師からは「留学費用の目安は学費と生活費で年間300万円」と説明されています。現在の貯蓄額190万円では初年度分さえ準備できていませんし、貯蓄を長女の留学費用に充てると次女の進学費用が足りなくなります。

■外食は月に4万円

 次なる問題が月12万円を超える食費です。このうち外食が4万円ほどを占めています。Tさんは自分で料理しようと頑張ってはいますが、長くは続かず、総菜や弁当などの中食が多くなっています。その結果、料理用にスーパーなどで購入した食材をダメにしてしまうこともよくあります。そもそも食費について特に予算を決めておらず、支払った金額も集計していないので、覚えている範囲で食費を計算しただけでも月10万円を軽く超える状況です。さらに総菜などを買うついでに日用品を無計画に購入するので、つられて日用品代も高額になっています。

 被服費も多めです。2人の娘が通う高校はそれぞれ制服ですが、塾には私服で行く機会が少なくありません。娘たちから「最近流行の服がほしい」と頼まれると、Tさん夫妻は断れないそうです。さらに、Tさん自身もママ友とのランチや飲み会が頻繁にあり、交際費が膨らんでいます。通信費が高額な理由は、家族全員がスマートフォン(スマホ)を持っており、かつ契約している通信会社が大手のキャリアというよくある話です。Tさん夫妻は格安スマホに切り替えれば料金は安くなるし、通信状態もそれほどは悪くならないことは分かっていますが、「いつか格安スマホに変えたい」と思いつつも「時間がない」「面倒だ」といった理由で切り替えていません。

■教育と老後の資金の双方を準備

 こうして支出の問題点を洗い出すと、Tさんは家計の実態を初めて知ったという様子で驚き、「共働きということで安心してしまい、支出全体が丼勘定になっていた」とうなだれました。また、これまでTさん夫妻の頭にあったのは「2人の娘の教育費をどうするか」ということだけでしたが、夫はもう50歳。今後働ける期間は限られており、老後資金の準備もしなくてはいけません。Tさんの家族は教育資金と老後資金のバランスを取りながら、早急に貯蓄を増やしていかなくてはいけない状況でした。

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