普通の公立高が大化け 京大合格率上げた堀川の探究科京都市立堀川高校の恩田徹校長に聞く

そのために教員に加え、地元の大学院生などを「ティーチング・アシスタント(TA)」として活用している。生徒9人に1人のTAが付き、ダメ出ししたり、アドバイスしたりと生徒をサポートするのだ。

京都の研究者がサポート

京都市立堀川高校の恩田徹校長

この点、堀川には地の利がある。市内には京大だけでなく、同志社大学や立命館大学などもあり、とにかく研究者が多い。しかも「研究に没頭して行き詰まっている時に、好奇心旺盛な高校生と話すと、いい頭の体操になると評判を呼び、募集人員以上にTAが集まるようになりました」という。

生徒たちはそれぞれの研究について、教員やTA、生徒間で討議してテーマを深めてゆく。自分たちで考え、話し合い、論文などにまとめる。恩田校長は「最初はサポートしますが、テーマが決まると、生徒たちが勝手に探究するようになります」という。9つの既存のゼミ以外にブラックホールやバイオテクノロジーなどをテーマにした自主ゼミも生まれた。

恩田校長は「探究に時間を割かれるので、国英数など従来の主要科目の授業はスピーディーにやります。だから生徒たちは忙しいです。一見損しているように見えるかもしれませんが、探究に目覚めた生徒はものすごい『エンジン』を持つようになります。自分の研究をさらに究めるには、京大のA研究室に行こうとか、いやその分野は東大や阪大の方が進んでいるとか、大学進学のモチベーションがものすごく上がるんです」という。結果的に探究力は京大など難関大への受験突破力も高める。

3年生になると、探究の時間はいったん棚上げにして、受験勉強に専念する形としている。「高2までは探究と通常の勉強の両輪ですが、高3から受験勉強一本となるので『受験の方が楽や』とよく言っています。探究を継続するため、大半の生徒が合格可能性が20%以下と判定されても志望校をかえずに挑戦します」(恩田校長)

京大、現役合格率はトップクラス

堀川の1学年の定員は240人。探究科は160人で、普通科が80人。この探求科の卒業生が初めて出た02年には国公立大学の現役合格者は、それ以前の5人前後から約20倍の100人を突破。17年の合格実績では、国公立の現役合格者は129人となった。

このうち京大の合格者は45人で現役合格は32人。学年の生徒数に対する現役合格率では、公立高でトップクラスだ。さらに東大にも14人(現役は12人)が合格した。ちなみに京大合格トップ校は洛南高校(京都市)で69人。ただ、洛南の1学年の生徒数は堀川のほぼ倍の規模だ。